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100年を彩った品種たち

Episode 07 メロン
みんなのメロン

独特の甘い香りと、とろけるような食感をあわせもつメロン。その昔高級品の代名詞だったネット(網目模様)メロンも、今や手軽に楽しめる野菜となっています。そして、高級品だったメロンが「みんなのメロン」になるまでの節目には、いつも当社の品種があったのです。

ウリ科キュウリ属のメロン(Cucumis melo L.)は、西アフリカのニジェール川沿いギニアが原産地と考えられています。日本へは、弥生時代に中国経由でマクワウリのタイプがもたらされたといわれています。意外にも日本におけるメロンの歴史は古いのです。

昭和6年の当社のカタログ「園の泉」春号には、すでにマクワウリと並んで、10種類以上の「マスクメロン」の品種が掲載されています。「マスクメロン」とは、独特の強い芳香があるメロンの総称です。これは、ガラス温室で手塩にかけられてつくられる高価なネットメロンが中心で、日常的に食べることができるものではなく、日本ではメロンの仲間としては香りや甘みはやや薄く、あっさりした風味の「マクワウリ」が一般的なものでした。

マクワウリ

園の泉

こうした状況を一変させたのが1962年(昭和37年)発表の「プリンス」です。この品種は、メロン好きの創業者 坂田武雄があまりのおいしさにヨーロッパから持ち帰ったヨーロッパ系のキャンタロープ種の「シャランテ」と日本のマクワウリの「ニューメロン」を交配し、様々な試行錯誤の結果生まれました。プリンスは、日本の高温多湿の条件下でも露地栽培(トンネル栽培)ができ、収穫量が多く、何より当時露地栽培メロンとして主流だったマクワウリとは比較にならないほどの香りと甘みをもっていたため、瞬く間に日本中に広まったのです。

そして、このときに当社が行ったのが、産地への徹底した栽培指導や、市場へのプロモーションです。これは当時としては画期的なことで、その後の当社の産地指導・営業の礎をつくったのです。こうして、プリンスは露地栽培メロンの大きな流れをつくり上げました。しかし依然、ネットが皮にはいるいわゆる「ネットメロン」は、ガラス温室栽培でつくる高級品の独壇場でした。

プリンス

アンデス

プリンスの発表から15年がたった1977年(昭和52年)、ビニールハウスやトンネルでもつくりやすく、素晴らしい味わいのネットメロンがついに発表されます。当時のメロンは甘さに当たりはずれがあり、それが悩みのタネでした。このアンデスは、「作って安心、売って安心、買って安心」の「安心です」から「しん(芯)」をとり、「アンデス」と名づけられました。この品種は、誕生以来35年近くが経過した現在でも、ネットメロンとして大きなシェアを誇っています。「アンデス」は高級品のネットメロンを「みんなのメロン」にした立役者でした。

その後も、アールスメロンの外観や食味を手軽に楽しめる「アールスナイト」シリーズなど、当社のメロンへのこだわりは尽きることなく続いてきました。

アールスナイト

ころたん®

ころたん®の緑のカーテン

そして2011年、またしても画期的なメロンが当社から生まれました。その名も「ころたん®」。自宅の庭で、また、ベランダでのコンテナ栽培でもおいしいネットメロンがとれる画期的な「ころたん®」は、驚きと喜びの声で、園芸愛好家の皆さんに迎えられました。究極の「みんなのメロン」ともいえる「ころたん®」は2013年の当社100周年にも、日本中の家庭菜園で、緑のカーテンとしても大活躍してくれるでしょう!

さあ、次の「みんなのメロン」はどんなものになるのでしょうか? 私たちも楽しみです!