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100年を彩った品種たち
サンパチェンス®

Episode 10 サンパチェンス®
二兎を追う者は一兎をも得ず

私たちは、一兎を徹底的に追いかけ、そして二兎を得ました。

きっかけは、サンパチェンス®が生まれる10年ほど前にさかのぼります。1990年初頭、将来「地球温暖化」になるらしいというニュースをしばしば耳にするようになりました。当社のブリーダーたちはそのことに半信半疑でした。ところが、数年が過ぎたころ、営業担当者から「ここ数年の夏の気温上昇により、多くの夏花壇苗で花色が落ちたり、株がとろける」といった状態が報告されるようになったのです。そこで「手入れが簡単で、夏の暑さに負けず花を咲かせて、春から秋までの花壇を美しく彩る」こんな育種目標が掲げられましたが、従来の品目にはこのような物はありません。

「なければ生み出す」。そんな気持ちで、インパチェンス属植物の中で交配を繰り返し生まれた植物の中に、驚異的な特性を持つ植物がありました。

ずば抜けた成長力と、耐暑性をもち、春から秋まで美しく花壇を彩る…。サンパチェンス®の誕生です。

神奈川県立相模原公園のサンパチェンス®約2ヶ月半でこんなに生長しました

こうして、2005年にサンパチェンス®は画期的な花壇苗として発表されました。すぐに市場で受け入れられ、順調に販売を伸ばしていきましたが、私たちには、疑問がありました。「サンパチェンス®の成長力はただ事ではない…。なにか特殊な能力があるのではないか?」
この謎を確かめるべく行った浦野豊博士(東京大学・農学)との共同研究の結果は驚くべきものでした。「サンパチェンス®のNO2、ホルムアルデヒド、CO2の吸収能力は他の園芸植物と比べて極めて高い!」(※従来の園芸植物と比べNO2で5~8倍、ホルムアルデヒドで3~4倍、CO2は4~6倍)

環境浄化能力の計測のためのチャンバーに設置された
「サンパチェンス®」シリーズ(右)

岡山市南区の排水路で行った
「サンパチェンス®」の水質浄化能力現地試験の様子

また、その高い水分蒸散能力から、高温時にはサンパチェンス®の周囲温度は他の園芸作物に比べて低くなる「打ち水効果」を発揮することも分かりました。(※浦野豊博士と独立行政法人農業環境技術研究所との共同研究によります)

そうです。私たちは、サンパチェンス®という植物によって「美しく景色を彩る」、「環境に貢献する」という二兎を手に入れることができたのです。

山中湖花の都公園のサンパチェンス®

第29 回全国都市緑化フェア TOKYO~TOKYO GREEN2012
「サンパチェンス®」の底面給水栽培 上野恩賜公園 竹の台広場

そして2012年、私たちはサンパチェンス®の新たな力を発見しました。岡山大学植生管理学研究室の沖陽子教授らとの共同研究で、河川に多く自生し、水質浄化などに役立っているアシなどに勝るとも劣らない水質浄化能力を実証したのです。

サンパチェンス®は、園芸植物としての美しさと環境浄化植物としての能力で世界中で年間に1,000万本以上が植えられ親しまれています。

今この一瞬も、サンパチェンス®は世界中でだれかの心と体を癒やしているのです。