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サカタのタネ歴史物語

井土ヶ谷本社

History 04
拡大・発展期 国内事業を強化し、海外再進出の足がかりをつくる

各地に営業所を新設し、卸売営業を強化

1974年7月、当社では経営陣の交代が行われ、86歳の武雄が社長を退いて代表取締役会長となり、後任の代表取締役社長に代表取締役専務の正之が就任した。

坂田正之

白河出張所地鎮祭の様子

正之社長は1916年12月1日に東京で生まれ、東京帝国大学法学部へ進学。卒業後、日本興業銀行に入行したが、1949年4月、父の武雄に請われて坂田種苗に入社した。6月から専務として総務・人事・経理の管理畑を中心に当社の近代化と合理化に多大な寄与をした。研究・生産・販売・管理の「四本柱」の経営を主張した正之は、経営者として頭角を現し、1960年に代表取締役専務となる。

就任後、卸売営業の体制を強化する一環として、「白河出張所」を新設。さらに1976年1月には「岡山出張所」、1980年10月には「札幌営業所」を開設、この地域でも業績を伸ばすことになった。

岡山出張所で開かれた坂田武雄の米寿と金婚を祝う会

札幌営業所

岡山出張所

本社を南区へ移転。ネットメロン「アンデス」を発表

横浜市神奈川区の本社は、築30年近く経過する中で木造2階建ての建物が老朽化していた。そこで1975年暮れ、横浜市南区の"ミツワボウリング場"を移転先として改装工事に着手した。翌年3月22日に新本社で事業再開。4月、旧本社跡地を整備・拡充して売店をリニューアルし、新たに「ガーデンセンター」として立ち上げた。

研究部門は4試験場の整備・強化をさらに進め、引き続き優良なF1の育成に力を入れた。特に話題になったのはメロン「アンデス」。大衆的なネットメロンとして多くの顧客に喜ばれた。日本のメロンの常識を変えてきた当社は、平成初頭段階で国内メロン種子市場の約7割を独占し、"メロンならサカタ"という評価を不動のものにした。

メロン「アンデス」

海外事業の拠点として、アメリカに現地法人を設立

1977年、サンフランシスコに「サカタ・シード・アメリカ」(SAI)を設立した。当社の種子は短期間にアメリカ市場に受け入れられ、ブロッコリー、キャベツ、メロン、パンジーなどの市場でシェアを拡大。その結果、F1ブロッコリーは販売量も増加、市場占有率は50%超となった。日本向けホウレンソウの採種も軌道に乗り、生産・販売量も増え、日本市場の占有率は50%を超えた。

1979年7月、当社では経営陣の入れ替えが行われた。武雄会長が相談役に退いて正之社長が代表取締役会長となり、金子善一郎専務が代表取締役社長に就任。

東北の種苗店に生まれた金子は、東北大学農学部を卒業後、1951年に坂田種苗に入社。生え抜きの種苗営業のプロとして各地の営業マンの先頭に立ち、当社事業の拡大・発展に大きな功績を残すことになった。

サカタ・シード・アメリカ

金子善一郎

創業70周年に小田急向ヶ丘遊園でフラワーショーを開催

1983年に創業70周年を迎えた当社は、5月12日から22日まで小田急向ヶ丘遊園で盛大な記念式典と大規模なフラワーショーを開催。約1,000余種、20万株の花で飾られた会場には約3万人の観客が入場して話題となった。

その矢先1984年1月12日、創業者の坂田武雄が逝去した。享年95歳だった。

武雄による当社の社是は「品質・誠実・奉仕」。よく言っていた「三者共栄」の原則は、得意先、仕入先に喜んでもらい、かつ当社も儲けるのでなければ長続きしないということだった。武雄はあまり口には出さなかったが実際に行っていた「三位一体」の原則は、会社は株主、経営者、従業員の三者が利害を共にすべきで、運命共同体であるべきだという考え方だった。

向ヶ丘遊園

株式を上場

当社は1986年1月から「株式会社サカタのタネ」に商号を変更し、1987年5月11日には種苗業界で初めて上場を果たした。

苗木部の発足と海外事業の展開

生産から販売までの苗の一貫体制を作り、当時拡大しつつあった市場のリーダーを目指すことを目標に、1987年暮れに「苗木部」を発足した。1990年からはその発展形として「セルトップ苗」の生産・販売を開始した。厳重管理下で均一生産される高品質の花や野菜の苗は、多数の穴が開いたセル成型トレーに培養土を入れ、種子を播いて苗まで育てる。農業人口減少と高齢化、後継者不足が目立ち始めた日本では、育苗は専門業者に委託し、必要な時に苗を購入する考え方が広がり始めていた。

当社の本格的な海外展開は1977年、サンフランシスコにSAIを設立したことから始まったが、全米5か所に研究・生産・営業の拠点を設けることで本格的な海外展開の基礎を固め、1990年に「サカタ・シード・ヨーロッパ」(SEB)を設立、1991年には、「サカタ・シード・チリ」(SCH)を設立した。続いて1996年に「サカタ・シード・フランス」(SFR)をニーム市内に設立。1996年4月にはオーストラリアのアーサー・イェーツ社の英国法人「サミュエル・イェーツ社」を買収した。

サカタ・シード・ヨーロッパ

サカタ・シード・チリ