サカタのタネには新品種を研究開発するだけではなく、商品となるタネの生産という大切な役目があります。委託採種農家・会社の協力の下、世界中に届けることができる量・質のタネを安定的に生産する体制を構築しています。

タネの生産とは

世界各地でタネ採り専用の圃場(畑)で栽培。写真はキャベツの採種圃場

タネ採りに適した環境を探してタネ生産を実施。写真はオクラの採種圃場

サカタのタネは170カ国以上に向けてタネを販売しています。そのため、世界各地にタネの生産地を分散し、地球丸ごとを使って販売に必要なタネを生産しています。サカタのタネが常に追求していることは、発芽がよく、病原菌の付着や異物の混入がなく、目的とした形質や性質を発揮できる高品質なタネを世界中に滞ることなく安定的に供給することです。

もし、気象災害や病気の発生などで野菜のタネの生産ができなかったら、野菜の生産量は激減し、私たちの生活に大きな影響を与えてしまいます。こうした事態を回避し、「適地適作」と言われるように、世界中で花や野菜の原産地に近い環境で生産を行うことによって高品質なタネを安定的に提供しています。

生産の「管理」とは

採種のために開花させているシュンギクの圃場。開花後、タネが熟すまで栽培します

ヒマワリも生花を採るためではなく、タネを採るために栽培します

生産における「管理」とは、タネの採種地や採種時期、採種量を管理することです。安定的な生産のために品目に合った気候か、他の品種との隔離が十分に行えるか、などを基準に採種地を選択します。採種時期や採種量などを決めた後は、サカタのタネの生産部門と長年の信頼関係を構築している委託採種農家・会社が密接にやりとりしながら、細やかな管理を実施しています。

販売用のタネが採れるまでには時間がかかり、そして1年間にタネが採種できる時期も限られています。その間に気象災害や病気の発生などのリスクもあります。このようにタネの生産には常に時間が必要です。そのため、タネの需要が急増したとしても、工業製品のように生産ラインを増やしてすぐに増産して対応することができません。タネを生産する前の需要予測、タネの採種地や採種時期、採種量などの計画をしっかりと行い、それに合わせてタネの生産を進めていきます。こうして、全世界での生産状況をリアルタイムに把握し、生き物であるタネを世界中に滞ることなく安定的に供給しているのです。

タネの生産方法

採種とは簡単に言うと「タネ採り」ですが、まず元となるタネ(親)をまき、それが花をつけた後、交配を行い、花が枯れた後に果実が実り、その果実が熟し、ようやく「タネ採り」が実施できます。例えば、キャベツのタネをまいて株が大きくなり、収穫できる時期になった後に花が咲くため、「タネ採り」ができるまでにはキャベツという野菜を収穫する2倍以上の時間がかかるのです。

開花調整とは

写真はアブラナ科の植物の開花調整の様子です。アブラナ科の植物のタネ採りの現場では交配を確実に行うために、メスの株とオスの株の開花時期を正確に一致させる必要があります。「タネ採り」には開花調整だけではなく、品目に合わせたさまざまな方法を利用しています。

アブラナ科の植物の開花調整の様子

タネの収穫

タネの収穫期を迎えると、コンバインや手摘みなどで収穫を行います。コンバイン収穫の場合、茎や根ごと収穫し、土や茎、根などの不要なものを取り除いてタネだけを集め、サカタのタネに送られます。そこで精選や品質検査などを行い、商品として出荷されていきます。

さやごと収穫していく採種の様子

タネにも寿命はあるの?

タネの寿命は品目によりさまざま。私たちが購入したタネ袋には「有効期限」が記載されているので「有効期限」内に利用しましょう

もちろん「タネは生き物」ですから寿命はあります。例えばトマトやナスなどの長いもので4年以上、ネギやタマネギなど短いもので1~2年程度です。ただし寿命が長いタネも、保管方法によっては発芽率がどんどん下がってしまいます。一般的に、タネは高温多湿を避け、低温少湿で保管するのがよいと言われています。