世界各地で生産されたタネは、サカタのタネに集められ、タネの品質が基準以上であるよう検定、処理、加工が施されます。タネは見た目だけではその品質は分かりません。安心してタネをご利用いただけるよう、国際標準規格に準じた検査や、サカタのタネ独自の厳しい基準の検定をクリアした高品質なタネを商品化する体制を整えています。

品質管理の基本方針

サカタのタネでは高品質なタネをお客様にお届けするため、厳正かつ客観的な品質管理業務を行っています。品質管理の基本方針は、「確実な手順での確実な品質検査」と「お客様の目線での品質評価」です。スタッフ一人ひとりが強い責任感と高い志をもって業務に携わっており、迅速かつ正確な検査のために、グローバル企業のメリットを活かして北米、欧州・中近東・アフリカ、アジア、南米とグローバルに展開する検査体制を配備しています。品質管理の徹底と検査技術の向上をめざして、グローバルでの連携を図っています。

種子病理試験の様子

収穫物から良質なタネを選別

タネの比重や形状で選別する精選の様子

目視で行う純潔度検査の様子

世界各地のサカタのタネに納品されたタネは、品目ごとに適切な温度・湿度を設定した倉庫で保管されます。畑から取ってきたばかりのタネには目的のタネの他にもいろいろなものが含まれています。石、砂、土や枝、花、へた、茎などの植物片を含む不純物、目的以外の雑草のタネです。そこでまずサンプルをとって、純潔度検査が実施され、目的のタネの割合が調査されます。その結果を元に、原料であるタネから製品化できる良質なタネに選別されます。

純潔度検査のあとにはシードカウントと呼ばれる、グラム当たりの粒数検査が実施されます。タネの大きさに応じて一定粒数の重さを計測し、1グラム当たりの粒数を算出します。お客様の手元に届くタネ袋には、粒数や容量(ミリリットルなど)、重さ(グラムなど)でタネ量を表示していますが、この数量表示には、シードカウントの検査結果が使われています。

国際標準の検査を実施

サカタのタネでは、品質管理の過程において、ISTA※1(国際種子検査協会International Seed Testing Association)で規定された国際標準が利用されています。特に、発芽検査試験室は日本の民間種苗会社では初であるISTA認証試験室に認定されています。この認証を受けている試験室は国際的に通用する種子品質検査証明書を発行することができます。国際認証を維持するためには、厳密に規定されたさまざまな要件を満たしている必要があります。

発芽検査の様子

  • 1 ISTA:国際種子検査協会(International Seed Testing Association)。種子の取引に必要な検査について、サンプリング、純潔度検査、発芽検査など手法の国際標準を作成する機関。

発芽検査

ろ紙法による発芽試験の様子

ろ紙法による発芽試験の様子2

タネ袋に表示されている発芽率。この発芽率を保証するための検査が発芽試験です。発芽試験はろ紙法試験や土まき法試験などがあり、播種後はお客様と近い条件に静置し試験するものもあります。どれくらい発芽するのか、発芽が一斉に行われるのか、タネを安心してお使いいただくために幾重もの必要な検査を定めて正確にこなしながら、高品質種子の供給に努めています。
また、サカタのタネでは、発芽率に加えて健全苗率という概念を導入するなど、より「お客様目線での品質評価」に近づくよう、取り組んでいます。

種子健全性検査

病原体に汚染したタネはタネ自身の発芽率低下をもたらすだけでなく、栽培地への伝染源となり、病害発生を助長する恐れがあるため、既知の種子伝染性病検体によるタネへの汚染の有無を検査しています。しかも、一つのタネに対する種子伝染性の病原体は1種類とは限りません。多くの場合、複数の検査を実施して、安全性を確認したタネを提供しています。

糸状菌や細菌などのさまざまな病原体に合わせた検査を実施し、タネの健全性を見極めています。

DNAを用いた純度検査の様子

農場での栽培検査の様子

ここまでに示した以外にも、目的品種であることを確認する純度検査を、試験室でのDNA検査や農場での栽培検査によって実施したり、GMO(遺伝子組換え作物)が混入していないことを確認する検査を実施するなどしています。
このようにサカタのタネでは、ISTAのような国際標準の手法に加えて、独自の検査技術も用いて、タネの品質を確認するためのさまざまな検査を実施しています。そしてこれらの品質検査結果をもとに、「サカタのタネ 総合品質基準(Quality Standard)」に照らした品質評価を実施しています。

種子の加工

お客様が安心して、かつ使いやすくするためにタネには、発芽ぞろいをよくする処理や細かいタネをまきやすくするペレット加工などの種子加工も施されます。タネ袋に詰められたタネは、原料のタネから検定・試験を繰り返し、処理・加工が施され製品化されたタネなのです。

種子の加工と合わせて処理されることの多い種子消毒。写真は農薬塗抹の様子