サカタのタネは研究開発型の企業——。サカタのタネにとって「研究」は事業の根幹となるものです。時代の先を見据えた、優れた花や野菜の品種を開発するため、静岡県にある掛川総合研究センターをはじめとする日本やアメリカ、フランス、インド、ブラジルなど12カ国19カ所に研究農場・施設を設置し、グローバルな研究体制を構築しています。

研究対象

サカタのタネにとっての「研究」とは、花や野菜の品種育成、そのための素材収集や植物病理など、これまでにない優れた品種の開発に必要なさまざまな過程を含みます。なかでも、新しい品種を作り出すことを「育種(=ブリーディング)」と言い、これがサカタのタネの大きな強みになっています。代表的な育種対象として、ブロッコリーやトマト、ヒマワリ、トルコギキョウなどの品目が挙げられます。

育種とは

一つ一つの花を手で交配する地道な作業。写真はブロッコリーの花

一つ一つの花を手で交配する地道な作業。写真はジニアの花

サカタのタネがその歴史の中で蓄積してきた膨大な遺伝資源の中から選んでタネをまき、栽培・選抜し、できたタネを採る——。これを繰り返して親となる系統をつくり、異なる親系統を交配して、できたタネを採ります。このような過程を繰り返して、目的とした形質や性質を発揮する優れた新品種を作り出しています。
育種とは新しい品種になりそうなものを見極めていく作業が必要ですが、一方ではさまざまなタイプから優れたものだけを残していくため、捨てる作業、選別する作業とも言われています。

サカタのタネの育種の強み

サカタのタネの育種には3つの大きな強みがあります。

  1. 花と野菜の豊富な遺伝資源を持っている

  2. 優れた技術やノウハウを持つブリーダー(育種家)が世界中で活躍している

  3. 植物病理研究を推進し、育種をサポートしている

1.花と野菜の豊富な遺伝資源を持っている

育種の第一歩は豊富な遺伝資源の中から親とする素材を選ぶこと。そこで重要なことは、豊富な遺伝資源を適切に保管・管理していることです。サカタのタネは長い歴史の中で、自社で収集・開発して保有する遺伝資源のほか、在来種の活用や海外の国との共同遺伝資源探索などで、さまざまな方法でたくさんの遺伝資源にアクセスしています。それらの遺伝資源を的確に扱う技術やノウハウを活かし、育種に活用しています。

2.優れた技術やノウハウを持つブリーダー(育種家)が世界中で活躍している

ブリーダーの経験とノウハウを活かす、育種。写真はサンパチェンス圃場

ブリーダーの経験とノウハウを活かす、育種。写真はトマトハウス

育種では、遺伝資源を組み合わせるブリーダーの経験とノウハウ、直感やセンスが非常に大きな役割を果たします。「育種10年」などと言われていますが、10年先の環境や食生活などを見通す先見性、掛け合わせを考える着想力、タネをまき栽培し、交配して、タネを採り選抜するという地道な努力の積み重ねなど、ブリーダーが育種の成功を左右していると言っても過言ではありません。サカタのタネでは経験豊富で優秀なブリーダーが世界中で活躍しています。さらに育種に関する情報交換やブリーダー同士の相互交流なども活発に行われ、さまざまな技術やノウハウが引き継がれています。

3.植物病理研究を推進し、育種をサポートしている

よい品種である条件の一つは病気に強いこと。そのため、サカタのタネでは病気に強い品種を開発して生産者をサポートするために、以下の取り組みを実施しています。

a.耐病性育種を実現
b.病害診断を実施し、防除策を提案

a.耐病性育種を実現

病害は一般的に花や野菜を栽培しているところに病原菌があり、環境条件がそろったときに発生します。そこでサカタのタネは耐病性を持つ花や野菜の品種を開発することにより、病害発生を防いでいます。例えば、ヒマワリ栽培に深刻な影響をもたらすべと病。ヒマワリ生産地ではべと病の発生が増え、その被害が深刻になっています。サカタのタネは、研究を重ねて、観賞切り花用で世界初となる、べと病抵抗性を持ったヒマワリ「ビンセント」を開発しました。

べと病問題解決のために、べと病抵抗性 (DMR) 品種として育成されたヒマワリ 「ビンセント」(2型) クリアオレンジ DMR

べと病問題解決のために、べと病抵抗性 (DMR) 品種として育成されたヒマワリ 「ビンセント」(2型) タンジェリン DMR

b.病害診断を実施し、防除策を提案

栽培現場で病害が発生した場合は病害を特定し、適切な防除策を提案します。また世界各地の栽培現場で収集・分析した病害情報などを栽培の提案などに反映させています。

病原体を特定するために病理検査を実施

病原体を特定するためにハウスや圃場での調査

研究体制

世界12カ国に研究農場・施設があり、グローバルな研究体制を構築しています。日本にある掛川総合研究センターは野菜と花の研究開発の拠点であり、病理・育種工学の拠点でもあります。海外にある研究農場・施設では現地市場を見据えた研究活動を展開するとともに、グローバルな技術協力体制を構築し、迅速かつ効率的な商品開発を実現しています。

サカタのタネの研究体制の強み

研究開発型企業と言われるサカタのタネの研究体制には大きな強みがあります。

  1. 世界19カ所に研究所がある

  2. 全世界の従業員の20%が研究スタッフ

  3. チーム制で推進

1. 世界各地に研究所がある

12カ国19カ所に研究所があります。生産者や園芸愛好家が実際に栽培する場所に近い地域で育種することのメリットを生かし、世界各地の研究所で気候や環境、土壌や食文化などを踏まえ、世界中で栽培される品種を研究開発しています。

2. 全世界の従業員の20%が研究スタッフ

研究を事業の根幹と考えるサカタのタネにとって、研究スタッフが多いのは当然のこと。ブリーダー以外に栽培や病理、育種工学に関わるスタッフを含め、さまざまな研究者が毎日真摯に花と野菜の種苗に向き合っています。

3. チーム制で推進

チーム制で「育種」の力を伸ばす

ハウスや圃場で栽培結果を検討している様子

サカタのタネではブリーダーが個々で育種するのではなく、品目ごとに複数のブリーダーを配置したチーム制による育種を行っています。チーム制のメリットは、よりコミュニケーションが活発になり、異なった価値観が交わることで独自の品種を生み出せること、サカタのタネが大切にする、ものづくりの思想やノウハウを後進に伝承し、品種を育成できること、開発速度の向上や効率化、育種に必要な長期的な視点と継続性が維持できることなどが挙げられます。

育種を行い、新品種として発売するには10年近い年月がかかりますが、サカタのタネでは「遺伝資源」「ブリーダー」「病理研究」という3つの強みを活かし、最先端の育種工学技術なども用いて育種期間を短縮し、優れた品種を少しでも早くお届けする努力を続けています。