サカタのタネは、発色の安定性と茎の硬さ、花形のよさを併せ持つ切り花、ポット苗兼用のハボタン『円(まどか) 春の紅(くれない)』=写真=を開発し、6月から種子を発売します。

ハボタン『円(まどか) 春の紅』の画像

 花色は、鮮やかな赤色(ヘッド部分の葉の色)です。標準的な栽培で花径は10~12cmとコンパクトで、花形がよいです。草丈は、切り花として出荷する際は約80cmです。茎が硬く、地際からまっすぐ立ち上がり曲がりにくく、草姿がよいです。 2018年に発表し、栽培のしやすさなどから高い評価をいただいている白色系の「円(まどか) 春の宴」と同様の性質を持っています。ハボタンは、お正月の屋内や庭先を飾る縁起物として根強い人気があり、紅白両方の需要があるため、赤系品種が待望されていました。紅白がそろうことで、一層、利用しやすくなります。

『円(まどか) 春の紅』の最大の特徴は、茎の硬さと丈の取りやすさを併せ持っている点です。これらは栽培のしやすさ、作業性のよさ、ポット苗や切り花出荷時の品質のよさなどを決める重要なポイントですが、これまで特に赤色系のハボタン品種では両立が難しく、育種上の課題となっていました。なお、秋の栽培で問題となる色戻り(着色部が緑色に戻る現象)に対しても、「同 春の宴」と同様に発生しにくいため、生産者の方は安心して栽培できます。

『円(まどか) 春の紅』の希望小売価格は、種子1袋1,000粒入り3,200円(税抜)です。全国の種苗店を通じて販売します。

茎の硬さと丈の取りやすさの重要性

近年のハボタンの利用では、切り花とポット苗兼用品種が増えていますが、こうしたトレンドを背景に、重視されているのが、茎の硬さと丈の取りやすさです。

この特性は、切り花としては、栽培時にネット上げ作業や葉かき作業がしやすく、時間短縮につながります。また曲がりが少なくなるため、秀品率がアップし出荷ロスが減るなど、高品質な切り花の安定出荷に貢献できます。

またポット苗としては、茎の硬さが非常に重要になります。栽培時、出荷時、店頭に並んだときも株がぐらつかないため、良品率がアップし出荷ロスが軽減されます。

なお、『円(まどか) 春の紅』は、ポット苗用栽培において、第62回全日本花卉品種審査会で1等特別賞を受賞しています。

 同条件で栽培した際の草丈の比較。右の2本が『円(まどか)春の紅』(83cm)、左2本が従来品種A(左、71cm)、従来品種B(右、73cm)。従来品種と比べて丈が取りやすい =2016年、掛川総合研究センター

曲がりにくく、花束に仕立てやすい

『円(まどか) 春の紅』は、茎の硬さと草姿の特性が相まって、非常に曲がりにくく、まっすぐな草姿になりやすいという特徴も持っています。ハボタンの切り花での利用方法のひとつとして、曲がった風情を楽しむ利用(踊りハボタン)がありますが、近年ではフラワーアレンジメントの素材としてより使いやすい、また花束に入れて他の花とあわせやすい、まっすぐな草姿が好まれる傾向にあります。こうした需要に対して、現在は曲がりやすい品種が無理に利用されているのが現状で、品質が不安定になりがちですが、『円(まどか) 春の紅』を利用することで、まっすぐな切り花を安定して生産することが可能になります。このように、切り花のハボタンをより使いやすくすることで、市場全体を活性化できる可能性を持っています。

ラインアップ(2色2品種)

品種

花色

円(まどか) 春の紅

鮮やかな赤色

円(まどか) 春の宴

白色(中心部が濃いピンク色)

『円(まどか) 春の紅』の作型図

『円(まどか) 春の紅』の作型図

※ 価格はすべて希望小売価格(税抜)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。