サカタのタネは、耐病性※1、食味に優れる春・秋どり用の小カブの新品種『二刀(にとう)』の種子を、2019年7月下旬から発売します。

小カブ『二刀(にとう)』の画像

小カブ『二刀』は、小カブ生産で問題となる白さび病※2や根こぶ病※3、萎黄病※4に耐病性があり、生産者が安定して作ることができる新品種です。さらに、病害に強いだけではなく、カブ独特のクセが少ないため甘みを感じやすく、肉質は緻密でみずみずしく大変食味がよい品種です。試作した産地や流通業者などからも、耐病性に加えて食味のよさが高く評価されています。

病気に強く、かつ食味がよい小カブ品種は長年の育種目標でしたが、「育ててよし」、「食べてよし」、まさに「二刀流※5」の期待の新品種として『二刀』を開発しました。

『二刀』はす入りが遅く、春の気温上昇下でも玉の変形や裂根※6が少なくじっくり育つため、在圃性※7に優れます。また、茎がしなやかで収穫時に折れにくく、収穫作業、複数のカブをテープで束ねる結束や販売用の袋に入れる袋詰めなど調整・出荷作業がしやすいという特長もあります。収穫、調整・出荷作業がしやすいことは労働時間やコストの削減につながるなど、労働力不足や高齢化が問題となっている生産者にとって大きなメリットとなります。

小カブ『二刀』の種子の希望小売価格※8は20ml袋で1,800円(税抜)、1dl袋で8,800円(税抜)で、全国の種苗店、JAを通じて販売します。

カブの可能性を広げる『二刀』

春は気温の急激な上昇や天候不順などで栽培管理が難しいといわれており、小カブ『二刀』のような、耐病性に優れ、変形や裂根が少なく、安定して出荷できる在圃性のよい品種が求められています。一方で、直売所やレストラン、通信販売など、こだわりの商品を消費者により近いかたちで販売するケースも増えており、そのような場面では特に味のよい品種が重宝されます。

『二刀』はこの2つのニーズを両方かなえる待望の品種です。試作産地からは、「他の品種と比べて『二刀』は白さび病が出なかった」、「小学校の給食に出したが、カブの嫌いな子どもでも『二刀』なら食べられた」など耐病性、食味、両方の評価をいただいています。『二刀』は大規模に小カブを生産している生産者はもちろん、小規模で直売所のみに出荷する生産者やセミプロの生産者など、幅広い経営形態にメリットのある品種です。

カブは「葉から根まで食べられるので収穫時、調理時に無駄がなく、環境への負荷が少ない」、「生、煮物、漬物など調理の用途が広い」など、多くの可能性を秘めた野菜です。作りやすく食味がよい『二刀』がカブのさらなる需要拡大の一助となり、カブの新しい魅力発見につながることを期待しています。

小カブ『二刀』の作型図

小カブ『二刀』の作型図

小カブ『二刀』 価格・規格

品種

規格

希望小売価格(税抜)

小カブ『二刀』

20ml袋

1,800円

小カブ『二刀』

1dl袋

8,800円

※1 抵抗性と耐病性:
耐病性とは圃場抵抗性ともいう。病害におかされはするが、その程度が軽いという性質をいい、抵抗性は真性抵抗性ともいい、病害自体におかされない性質をいう。

※2 白さび病:
春や秋の低温多湿条件下で発生しやすく主に葉の表と裏に盛り上がった白い斑点が発生する。

※3 根こぶ病:
根にこぶができる病気。アブラナ科作物で発生する。ネコブセンチュウによる根こぶ線虫病よりも概して大きなこぶができる。地上部は、しおれや生育不良などの症状が出て、生育の早い段階での発病ほど被害が大きくなる。

※4 萎黄病:
下葉から黄化し、生育が劣って株が小さくなり枯れる病害。連作すると多発しやすく、気温の上昇時期によく発病する。

※5 二刀流:
両手に1本ずつの刀を持って戦う剣術の流派のことだが、野球で投手と野手を兼任していることのように、2つの物事を同時にうまく行えることという意味もある。本リリースでは後者の意味。

※6 裂根:
ダイコン、カブ、ニンジンなどの根が、収穫遅れや急激な土壌水分の変化などにより割れること。

※7 在圃性(ざいほせい):
畑においていても品質などに問題がなく、収穫期が長く続く性質のこと。

※8 価格はすべて希望小売価格(税抜)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。