玉レタス『ペネトレイト』の画像

サカタのタネは、肥大力と結球性、形状の安定性、レタス根腐病※1レース1、2およびレタス黒根病※2への耐病性※3に優れる玉レタスの新品種『ペネトレイト』の種子を2020年1月上旬から発売します。

玉レタス『ペネトレイト』はサリナス系※4の極早生品種で、高冷地、冷涼地の初夏どりの作型に向きます。特長は肥大力、結球性に優れ、形よく扁円形に結球することです。扁円形にまとまると箱詰めしやすいなどメリットがあり、生産者、流通業者に好まれます。尻部の形状も安定してよく、外葉の主脈も張らないため、収穫作業も容易です。玉レタスの初夏どりは、厳寒期にタネをまき、春の気温の乱高下、梅雨の長雨、初夏の暑さといった気候の急激な変化の中で生育するため、特に形が崩れやすい作型です。『ペネトレイト』は形状の安定性に優れるため、不安定な気候の中でも安心して栽培することができます。


さらに、『ペネトレイト』はレタス根腐病に強いことも特長です。本病は夏の栽培で特に発生しやすい病害ですが、近年は気温が上昇し、5月~6月にも被害が出ています。また、高冷地のレタス生産者は初夏どりの収穫後、同じ圃場で続けてレタスを栽培しますが、初夏どりに比べてさらに同病害が発生しやすく、被害を心配する声が多く聞かれます。『ペネトレイト』はレタス根腐病レース1、2の耐病性を持つため、同病害の発生リスクを軽減することができます。
 
玉レタス『ペネトレイト』は形状の安定、耐病性に優れる当社の玉レタス「セレブレーション」シリーズにラインアップします。種子の希望小売価格※5はペレットシード※6缶5,000粒で11,000円(税抜)で、3年後の売上目標金額は3,000万円です。全国の種苗店、JAを通じて販売します。

左:他社品種  右:ペネトレイト
生育が早く、形状安定性に優れる

玉レタス『ペネトレイト』の作型図

玉レタス『ペネトレイト』の作型図

※1 レタス根腐病:
春~夏秋どりの代表的な土壌病害。根や維管束などに発生し外葉からのしおれや生育不良、進行すると枯死する。病原菌は感染する品種の違いにより3つのタイプ(レース)に分類され、このうちレース1は温暖地(一般地)や高冷地に広く分布し、レース2は高冷地と一部の温暖地(一般地)にやや限定的に分布している。耐病性品種による防除が一般的、かつ非常に有効である。

※2 レタス黒根病:
近年高冷地で発生が確認された土壌病害。感染した根は、褐変した後脱落するため外葉から激しくしおれる。根腐病と同様に耐病性品種による防除が有効である。

※3 抵抗性と耐病性:
当社は病害を抑える性質をその程度により「抵抗性」と「耐病性」という言葉で表しています。発病条件(温度、湿度、病原体の密度など)の影響を受けにくい安定したものに「抵抗性」を用いています。「抵抗性」は基本的には発病しませんが、発病を助長する厳しい条件や病原菌のレース分化・変異により発病する場合もあります。「抵抗性」に比べ発病条件の影響を受け易いが、感染しても発病の程度が軽かったり、栽培する上で問題になりにくいものには「耐病性」を用いています。

※4 サリナス系:
結球レタスの主流タイプ。葉の表面の起伏や縁の刻みが少ない。葉肉が厚く一般用のほか業務・加工用にも向く。

※5 価格はすべて希望小売価格(税抜)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。

※6 ペレットシード(pelleted seed):
コーティング種子ともいう。細かな種子や形が不ぞろいな種子を、粘土など自然に溶ける被覆資材で包んだもの。粒子を大きく均一にしてあるので、播種機でまきやすくなる。