チンゲンサイ『頼光(らいこう)』

 サカタのタネは品質、収量性、白さび病※1などへの耐病性※2に優れるチンゲンサイの新品種『頼光(らいこう)』(=写真=)の種子を生産者向けに発売します。

『頼光』は葉・軸の色が濃く、葉と軸のバランス、首部(葉と軸の間)の締まりがよい品種です。出荷時に評価が上がりやすい高品質な青果物を生産できます。葉枚数が多く、尻(軸の下部)の張りがよいため高い収量性にも貢献します。また、主に春・秋栽培で問題となる白さび病や地温の高い時期に発生しやすい萎黄病※3に強く、栽培適応幅が広く使いやすい品種です。比較的暑さにも強く、一般地であれば春・秋栽培、高冷地・冷涼地では晩春から秋口まで栽培できます。

当社は世界初のF1チンゲンサイ「青帝(せいてい)」を開発するなど、中国野菜であるチンゲンサイが日本に定着するきっかけを作ったチンゲンサイ育種のパイオニア企業です。その後も生産現場の課題を解決する品種を開発し続けています。近年、生産現場では天候不順による生産の不安定さが問題となっており、高品質ながらも耐病性に優れ、栽培適応幅の広い新品種『頼光』を開発しました。

チンゲンサイ『頼光』の種子の希望小売価格※4は1袋20ml入り1,430円、1袋2dl入り14,000円、ペレットシード缶5,000粒入り3,500円で、3年後の販売目標は2,000万円です。全国のJA、種苗店を通じて2020年6月下旬から販売します。

広がるチンゲンサイの可能性

チンゲンサイは生育期間が40~50日と短く、葉軸部分が膨らみ、一株一株ボリュームがあるため、通常は1袋に2株入れて出荷する野菜です。葉物野菜の中でも調整しやすい野菜といえ、高齢化、人手不足で省力化を求めている生産者や、新たに参入しようとする新規就農者なども栽培しやすい品目です。

また、みずみずしさを生かしたサラダとしての食べ方が少しずつ広がるなど、中華料理の枠にとらわれず、近年用途の広がりを見せています。

以上から、当社ではチンゲンサイを今後も栽培が広がる可能性がある野菜の一つとして考えています。

チンゲンサイ育種のパイオニア サカタのタネ

 現在チンゲンサイといえばスーパーマーケットなどでもよく見かけるメジャーな野菜で、1972年の日中国交正常化とともに日本でも広がった中国野菜の一つです。同時期に中国から入ってきた野菜に、パクチョイ、タァツァイ、紅芯ダイコンなどがあります。

当社はこれら中国野菜の中でも、とりわけチンゲンサイの日本普及において、大きな役割を果たしてきました。中でも、1985年に当社が発表した世界初のF1チンゲンサイ「青帝(せいてい)」の登場をきっかけにチンゲンサイ栽培は各地で本格化し、日本での定着に貢献しました。

ほかにも冬季の栽培に優れる「武帝(ぶてい)」、濃緑色の葉色が特徴の「艶帝(えんてい)」、丸ごと調理できるミニチンゲンサイ「シャオパオ®」など、画期的なチンゲンサイを開発し続けています。

今後も当社では課題を解決する品種を開発し、日本のチンゲンサイ生産に貢献します。

チンゲンサイ『頼光』作型図

※1 白さび病:
春や秋の低温多湿条件下で発生しやすく主に葉の表と裏に盛り上がった白い斑点が発生する。

※2 抵抗性と耐病性:
当社は病害を抑える性質をその程度により「抵抗性」と「耐病性」という言葉で表しています。発病条件(温度、湿度、病原体の密度など)の影響を受けにくく安定したものに「抵抗性」を用いています。「抵抗性」は基本的には発病しませんが、発病を助長する厳しい条件や病原菌のレース分化・変異により発病する場合もあります。「抵抗性」に比べ発病条件の影響を受け易いが、感染しても発病の程度が軽かったり、栽培する上で問題になりにくいものには「耐病性」を用いています。

※3 萎黄病:
典型的な症状は葉脈を中心とした葉の黄化と萎凋で、導管部は褐色~黒変する。病状が進むと枯死に至ることもある。

※4 価格はすべて希望小売価格(税抜)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。