サカタのタネは冬場の低温伸長性に優れ、夏場に問題となるフザリウム※1(萎黄病※2)に強いミズナの新品種『極早生水天(ごくわせすいてん)』=写真=の種子を生産者向けに発売します。
ミズナ『極早生水天』は生産現場における冬と夏の課題、それぞれを解決することができる品種です。冬場は低温で成長が緩慢になりますが、『極早生水天』は低温伸長性に優れ、寒さの厳しい冬でも安定して収穫できます。また、夏場のミズナ栽培ではフザリウムを原因とする萎黄病が問題となっていますが、『極早生水天』はフザリウムに強いため、安心して栽培することができます。葉はテリのある緑色、軸は純白で、見た目にも優れる品種です。
ミズナは鍋や漬物用として古くから京都を中心に活用されてきた野菜ですが、サラダなど用途が増え、季節を問わず全国的に消費されるようになりました。それに伴い生産も日本各地に広がり、かつ周年化しています。当社は「早生水天」を販売し長年好評を得ていますが、今回生育の早い『極早生水天』を追加することで、栽培スケジュールや栽培方法などに合う品種を選択できるようになります。全国化、周年化など多様化するミズナ生産に貢献できることを期待しています。
ミズナ『極早生水天』の希望小売価格※3は1袋20ml入り680円、1袋2dl入り6,300円で、全国のJA、種苗店を通じて2020年6月下旬から販売します。
全国で季節を問わず生産されるミズナと当社のラインアップの充実
2018年のミズナの国内作付面積は約2,510ヘクタール、出荷量は約3万9,000トン。かつては京都近郊で生産される京野菜の一つでしたが、現在は茨城県や福岡県など、ミズナの生産は全国に広がっています。
生産地や時期が多様化しているため、さまざまな作型で栽培されるようになり、品種はより多様化しています。当社では従来生産者向けに「早生水天」を販売してきましたが、今回さらに早く成長する『極早生水天』をラインアップに加えることで、より各生産者の需要に合う品種を選ぶことができるようになりました。
栽培しやすく、さまざまな料理と合わせやすいミズナは、農業の大規模化や集約化が進んでいく中で、さらに生産の広がりを見せる野菜の一つと考えています。当社では多様化するミズナ生産のニーズに今後もさまざまな品種を提案して応えていきます。
ミズナ「極早生水天」作型図
※1 フザリウム:
萎黄病などを引き起こす土壌伝染性の病原菌で、カビの一種。連作すると土壌中のフザリウム菌密度が高まるため、数年間は同じ場所で栽培することを避ける
※2 萎黄病:
葉から黄化し、生育が劣って株が小さくなり枯れる病害。根を切るとリング状に褐変し、内部に放射状の変色部が見られる。病原菌は土壌中に残り伝染。連作すると多発しやすく、気温の高い時期によく発病する
※3 価格は希望小売価格(税抜)。価格の自主的な決定を拘束するものではありません