ハボタン新シリーズ『ローブ』

 サカタのタネは、発色が早く草姿がコンパクトなわい性ハボタンの新シリーズ『ローブ』の種子を発売します。ラインアップは『ローブ レッド』『同 ピンクバイカラー』の計2品種です。

『ローブ』シリーズは葉の縁にフリルが入る大阪丸葉系ハボタンで、他品種と比べて発色が早いことが特徴です。近年、秋の気温が高くハボタンの発色が遅れ出荷に影響を与えており、発色の早さは生産者の出荷安定の上で重要なポイントです。草姿は節間が詰まりコンパクトであることも特徴です。ポット苗のハボタンでは、栽培のしやすさや流通上の扱いやすさなどからコンパクトな草姿が好まれ、多くの生産者はわい化剤を使用します。『ローブ』シリーズはわい化剤の使用を低減、または控えても草姿がコンパクトにまとまる特徴があり、生産者の労力や経費の削減に貢献します。葉枚数が多くフリルは華やかで、見た目にも優れるハボタンです。

ラインアップは黒葉と中心部の鮮やかな赤色のコントラストが特徴の『ローブ レッド』、中心部はピンク色で外側に向かって白色になる『同 ピンクバイカラー』の2品種です。営利生産者向けの希望小売価格は、各品種フィルムコート種子1,000粒入り3,000円(税抜)です。2020年6月から全国の種苗店、JAルートを通じて発売します。また、本品種はオンラインショップを含む当社通信販売限定で園芸愛好家向けにも発売します。通信販売では各品種フィルムコート種子約40粒入り300円(税抜)で、2020年5月下旬から受注を開始します。

サカタのハボタン新時代

 ハボタンは江戸時代に日本に伝来したといわれ、江戸の園芸ブームの中で観賞用に改良され、「ハボタン」として成立していったと言われています。品種は特徴1)草丈(切り花などにも使える高性種かコンパクトなわい性種か)、2)葉形(ちりめん系、丸葉系など)の違いによって大きく分けることができます=図参照=。紅白に色がつきお正月飾りのイメージが強いハボタンですが、品種や栽培方法の多様化により近年はその枠を超え、冬のガーデニングの主役の一つにまで躍り出ました。

一方で、ハボタン生産の現場では課題を抱えており、その中でも深刻なのは発色の遅れです。ハボタンは寒さにあたって葉が色づくため、秋の気温が高いと発色が遅れ、出荷スケジュールに大きな影響を与えます。

当社はこのような問題に対応するため、発色の早いハボタンの開発に力を入れ、高性種の丸葉系「円(まどか)春の宴®(うたげ)」と「円(まどか)春の紅(くれない)」やわい性種のちりめん系「ドレス レッド」をここ数年で次々と開発、発表してきました。『ローブ』シリーズはこの流れの中で完成した発色の早いわい性種の大阪丸葉系ハボタンです。図にある通り、本シリーズの投入により当社は主要なハボタンのカテゴリーを顧客に提供することができるようになります。不安定な気候下でのハボタン生産に貢献し、ハボタンの魅力がより広まることを期待しています。

異なる葉形でも同一管理

ハボタンは葉形によって上記のように、「ちりめん系」「丸葉系」などに分かれます。多くの生産者はそのどれかのみを作っているのではなく、多様な葉形の品種を同時に生産し、出荷しています。その際に、個々の品種で生育スピードやわい化剤の使用などの差が大きいと、手間がかかり効率的ではありません。

当社のハボタン『ローブ』シリーズ(丸葉系)、「ドレス」シリーズ(ちりめん系)は発色が早い、節間が詰まりコンパクト、葉枚数が多いなど、異なる葉形でも同じ特徴を持っています。そのため、同一管理で栽培しやすいというメリットがあります。生産現場の労力削減が重要となる中、当社の新しいハボタンシリーズが課題解決の一助となることを期待しています。

ハボタン「ローブ」シリーズ作型図

※価格はすべて希望小売価格(税抜)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。