キャベツ『がいな』

 サカタのタネは温度上昇期の形状安定性、肥大性、在圃性に優れたキャベツの新品種『がいな』の種子を営利生産者向けに発売します。

『がいな』は青果用のほか、近年重要度が高まっている加工・業務用キャベツとしても活用できる品種です。キャベツは箱詰めや機械加工のため偏円形(扁平(へんぺい)に近い横長気味の形状)が好まれる傾向にありますが、収穫期が温度上昇期(一般地では5月から6月頃、寒冷地では7月頃)の場合は形状が丸くなりやすい(尖りやすい)性質があります。『がいな』は同時期でも安定して偏円形の青果を収穫できる品種です。また、肥大力があり割れにくく、玉がしっかりと締まりながら肥大するため、青果用に向くLサイズから加工・業務用に向く2~3Lサイズまで用途に応じて幅広く収穫できます。草勢が強いため水田の裏作など大きくなりにくい条件でも十分に肥大します。試作産地からも特に肥大力や重さについて高い評価をいただいています。さらに、肉質がしっかりしていて千切り加工をした際などに水が出にくい点も加工・業務用として期待できる特長です。

キャベツ『がいな』の種子の希望小売価格は1袋2,000粒入り4,250円(税抜)、1缶ペレット種子5,000粒入り12,500円(税抜)で、3年後の販売目標は3,000万円です。全国のJA、種苗店を通じて2021年1月上旬から発売します。

キャベツ生産と加工・業務用需要について

日本における野菜生産は30年間で減少し、現在は横ばいが続いている状況にあります。しかし、キャベツに関しては近年生産量が増加傾向に転じました。その理由の一つにはカット野菜やサラダ需要増加などによる加工・業務用需要の存在があると考えられます。

加工・業務用キャベツにとって重要な性質は、1)機械加工で使いやすい偏円形の整った形状であること、2)サイズが大きく葉の巻きが引き締まり1玉当たりの重量があること、3)しっかりした肉質で加工した際に水が出にくいこと—です。『がいな』はいずれも満たしており、形状の乱れやすい初夏から夏収穫の加工・業務用キャベツとして活用できる期待の品種です。

また、加工・業務用キャベツの需要に注目が集まっている一方で、スーパーマーケットなどに出荷される青果用のキャベツも依然として存在感があります。『がいな』は玉が締まりながら肥大する性質があり、加えて割れにくいので、小売り向けでも加工向けでも、生産者の出荷先に応じたサイズで出荷できます。

左:他社従来品種 右:『がいな』
他社従来品種は葉の巻きが弱く、形状もやや丸みを帯びる。
『がいな』は葉がしっかりと巻き締まりがよく、
形状も偏円形に生育する
茨城県 5月撮影

キャベツ『がいな』作型図

※ 価格はすべて希望小売価格(税抜)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。