ダイコン『冬の守』

 サカタのタネは栽培適応幅が広く形状安定性に優れる高品質な秋冬ダイコン『冬の守(ふゆのかみ)』の種子を営利生産者向けに発売します。

『冬の守』はダイコンの消費量が多い年明け収穫用の品種で、最大の特長は栽培適応幅の広さです。本作型では長雨などで播種時期がずれ込むと短根や生育不良、抽だいが問題となることがあります。『冬の守』は秋冬ダイコンの中では比較的温度に鈍感なため、早まきによる曲がりや遅まきによる生育不良が発生しにくく、天候不順の中でも形状の安定したダイコンの収穫が期待できます。また、晩抽性※1があるためトウ立ちが遅く、3月上中旬収穫の春ダイコンとしても出荷できます。春系品種では厳寒期の生育の遅さ、葉の耐寒性の弱さが問題になることが多く、耐寒性のある秋冬ダイコンを使えることは生産者にとってメリットとなります。さらに、『冬の守』は1)シミ症や横縞症※2などダイコンの肌(根の表面部分)に発生する病害に強い、2)毛穴が浅くひげ根が少ない、3)肌の表面が滑らかで光沢がある—といった見た目のよさも特長です。特に肌の病害は青果物の価格に直結するため、生産者の収入を大きく左右します。

 
当社では品質の高いダイコンを栽培できる「夏の守(なつのかみ)」「春の守(はるのかみ)」を販売しており、肌の質感や形状などが高く評価されています。今回『冬の守』をラインアップに加えることで、高品質ダイコン「守」シリーズのブランド力向上、さらなるシェアアップを目指します。
 
ダイコン『冬の守』の種子の希望小売価格※3は、800粒入り袋1,400円(税抜)、8,000粒入り袋13,800円(税抜)、ペレットシード5,000粒入り袋10,300円(税抜)で、2021年6月下旬より全国の種苗店、JAルートを通じて販売します。売上目標は3,000万円です。

ダイコン栽培における栽培適応幅の重要性

ダイコンは野菜の中でも作型が多い品目で、一般的に少しのタネまき時期のずれが根長や根形だけでなく、その後の生育にも大きな影響を与えます。一方で、ポットで育苗せず圃場に直まきする作物のため、長雨や台風など気象条件によってタネをまくタイミングが左右されやすい品目でもあります。そのため、生産者はなるべく温度に鈍感で栽培適応幅が広く、少しでも早まき・遅まきに対応できる品種を求める傾向にあります。『冬の守』はこういった生産者の需要に応える品種で、とりわけ近年の不安定な気候条件ではさらに需要が高まると考えています。

ダイコンの肌の美しさについて

ダイコンの評価基準の一つに肌(根の表面部分)の美しさがあります。肌に発生する病害への強さが最大の評価ポイントですが、そのほか毛穴の浅さ、ひげ根の少なさなど肌の質感、滑らかさも生産者、消費者にとって大きな評価ポイントとなります。また、肌の美しいダイコンは、収穫の際、根部表面に泥が付きづらく、洗い落としやすい特長があり、作業性向上につながります。

ダイコン『冬の守』作型図

ダイコン『冬の守』作型図

※1 晩抽性:
花芽を付けるための抽だい(ちゅうだい=トウ立ち)が遅い性質のこと。

※2 横縞症:
根部の表面に黒褐色のすじ状の縞が形成される病害。

※3  価格はすべて希望小売価格(税抜)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。