小ネギ『菊千代』の画像

サカタのタネは濃緑で低温伸長性、肥大性、収量性、作業効率性に優れた小ネギ『菊千代』の種子を営利生産者向けに発売します。

冬場に栽培する小ネギは、低温のため伸長せず葉太りするため、秀品率が低下するという問題点があります。また、小ネギは本数ではなく重量で取引されるため、1本あたりの重量の減少は生産者の収入に大きな影響を及ぼすことから、高収量性を兼ね備えた品種の開発が重要と考え、『菊千代』を開発しました。『菊千代』は、生育が早く低温伸長性と肥大性に優れ、低温期でも高い収量性を維持できる品種です。立性で葉が折れることも少なく、葉肉が厚く、葉に重みがあることも収量性を高めています。周年栽培が可能ですが、特に低温期の栽培に向いています。

 
小ネギの出荷調整作業では、「皮むき作業」が大半を占めます。「皮むき作業」が一日の出荷量を決めるといっても過言ではなく、作業性のよさが重要です。『菊千代』は葉鞘基部の膨らみが少なく、葉鞘部のうす皮がむきやすいため、作業効率が非常によい特徴があります。
 
小ネギ『菊千代』の営利生産者向け種子の希望小売価格※1は1袋20ml入り352円(税込)、1袋2dl入り3,300円(税込)、1袋1ℓ入り16,500円(税込)で、全国のJA、種苗店を通じて2021年7月中旬から販売します。3年後の販売目標は3,000万円です。

加工・業務需要への適性も兼ね備えた『菊千代』

小ネギは麺類や冷奴などの薬味として食卓に欠かせない食材であるだけでなく、飲食店でも一年を通して提供されるため、季節を問わず需要があり、周年出荷が一般的となっています。加工・業務用の小ネギ生産では、青果用と同様に株全体での出荷のほかに、刻み加工用としての出荷も多くあります。刻み加工用では、株全体を収穫せず、地際から地上部のみを刈り取り、残った株からまた新芽を再生させ、複数回収穫を繰り返す刈り戻し栽培が広く行われています。

小ネギ『菊千代』は、葉の再生力が高いため、刈り戻し栽培でも草勢が衰えずに収穫することができます。また、伸長性があり葉太りしにくいので秀品率が高く、よい荷姿の青果を出荷できるため、加工・業務用向けとしての適性も兼ね備えています。

刈り戻し後31日目の比較写真 (静岡県 2020年8月20日撮影)

左:従来他社品種
右:『菊千代』

左:従来他社品種

右:『菊千代』

小ネギ『菊千代』作型図

小ネギ『菊千代』作型図
小ネギ『菊千代』作型図

※1 価格はすべて希望小売価格(税込)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。
※2 株を消耗させないために、不必要でも行う刈り取り作業