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定植後約70日で収穫ができる早生性と栽培適応性を兼ね備える栽培しやすい品種
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縛葉(ばくよう)作業が不要で、生産現場の省力化に寄与
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注目度の高いカラフル野菜として、カリフラワーの作付け、消費拡大への貢献に期待
サカタのタネは早生性、栽培適応性に優れ、生産現場の省力化に貢献する紫色のカリフラワーの新品種『オーナメントパープル』の種子を2022年6月から生産者向けに発売します。
『オーナメントパープル』は、定植後約70日で収穫ができる早生品種です。早生性を生かし、従来の紫カリフラワーよりも早い時期に出荷することが可能になります。また、高温多湿な日本では栽培期間が長くなるほど病虫害などの影響を受ける可能性が高く、早生であることは安定した生産につながるポイントの一つです。『オーナメントパープル』は花蕾が低温に当たると発色が豊かになるため、秋冬作が向いていますが、春栽培で問題となるボトニング※1に強く、栽培適応性もあるため、秋冬だけでなく一般地・暖地の5月収穫、高冷地の初夏収穫でも安定した収量、高品質な青果の収穫が可能です。
日光に当たるほど花蕾が鮮やかな紫色に発色するため、通常の白色のカリフラワー栽培で行われる花蕾を葉で覆う縛葉作業が必要なく、生産現場の作業を省力化できます。農業の生産現場では近年、人手不足や高齢化が進んでおり、作業性に優れる品種の重要性が高まっています。
『オーナメントパープル』は2020年に発売したカリフラワー「オーナメントホワイト」に続く、「オーナメント」シリーズの2品種目です。オーナメント(装飾品)のように飾ることができるほど美しい色の花蕾を特徴とする本シリーズは今後も展開を予定しています。
カリフラワー『オーナメントパープル』の種子の希望小売価格※2はペレット種子※31袋1,000粒入り7,920円(税込)で、全国のJA、種苗店を通じて2022年6月下旬から発売します。
見た目の美しさでもカリフラワーの魅力を再発信、再評価の動き
日本国内でカリフラワーの生産、消費が拡大し始めたのは1960年代といわれます。しかし1970年代をピークに減少傾向に転じ、1980年代には同じ花野菜であるブロッコリーに逆転され、現在は大きく水をあけられています。カリフラワー生産の減少の原因の一つには、縛葉作業や出荷調整作業などで手間がかかることに起因する生産者のカリフラワー離れが考えられます。
一方で、カリフラワーは白、紫、緑、オレンジといったカラフルさが特徴で、最近はスーパーマーケットの店頭をハロウィーンやクリスマスなどの季節のイベントに合わせて彩る際に重宝される例もあります。『オーナメントパープル』はゆでても色が残り、食酢を加えるとより鮮やかな赤紫色に発色するため、食卓を華やかに彩ります。食酢などを加えずにゆでると群青色になり、ハロウィーンなどではその青さを活用することもできます。
カリフラワーは1)生産する際の設備投資が少なく新規就農者も参入しやすい、2)価格が比較的安定している、3)ハロウィーンなどの行事食やカリフラワーライスなど新しい使い方の可能性が広がっている—など、まだまだ新しい可能性を持つ野菜の一つです。今回開発した、日本ではまだ珍しい紫色のカリフラワー『オーナメントパープル』など、カリフラワーの新しい可能性を広げられる魅力ある品種開発を通じて、当社はカリフラワー全体のさらなる発展に寄与し続けます。
カリフラワー『オーナメントパープル』作型図
※1 ボトニング:
株が十分に成長する前に花芽が分化し小さな花蕾になってしまう障害。
※2 価格はすべて希望小売価格(税込)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。
※3 ペレット種子(pelleted seed):
コーティング種子ともいう。細かな種子や形が不ぞろいな種子を、粉体など自然に溶ける被覆資材で包んだもの。粒子を大きく均一にしてあるので、播種機でまきやすくなる。