• 石灰欠乏症(あんこ)に非常に強く、肥大力にも優れ、加工・業務用にも向く

  • 晩抽性にも優れ、4月収穫でもトウ立ちが遅い

  • 根こぶ病の幅広いレースに対して耐病性(※1)を持つ

ハクサイ『桜月』

サカタのタネは、石灰欠乏症(あんこ)に強く、肥大力、晩抽性に優れ、根こぶ病の幅広いレース(病原性が異なる菌系統)に対して耐病性を持つハクサイの新品種『桜月』(さくらづき)の種子を営利生産者向けに発売します。

4月収穫(温暖地)の春ハクサイは厳寒期から気温が上がる3~4月に急激に成長するため、カルシウム不足による石灰欠乏症(あんこ)が問題となります。あんこはハクサイの内部の葉が変色する生理障害で、商品価値の低下につながります。『桜月』は従来品種と比べて石灰欠乏症に非常に強く、安心して栽培することができます。また、厳寒期に生育する春収穫のハクサイは大玉になりにくい傾向にありますが、同品種は4kg以上のサイズでも収穫可能で、青果用はもちろん加工用ハクサイにも向きます。

春はハクサイのトウ立ちの時期に当たり、花芽が上がると商品価値が大きく下がり、出荷できなくなることもあります。『桜月』は晩抽性に優れるためトウ立ちが遅く、安定生産に貢献します。また、ハクサイの生育不良などを引き起こす根こぶ病に対して幅広い耐病性を持ちます。

『桜月』の種子の希望小売価格(※2)は20ml入り袋8,250円(税込)、ペレットシード1缶5,000粒入り14,190円(税込)です。全国のJA、種苗店を通じて2023年11月下旬から順次発売します。

石灰欠乏症(あんこ)への強さとサイズを両立、加工用にも向くハクサイ『桜月』

ハクサイは青果用としてはもちろんですが、キムチや漬物など加工・業務用の生産も多い品目です。特に近年はカット野菜などの需要増加を背景に、ハクサイ生産においても加工・業務用生産の重要度が高まっています。

加工・業務用ハクサイの重要なポイントは1)4kg以上の重量で収穫できること、2)石灰欠乏症(あんこ)など内部障害に強いこと、です。特に、石灰欠乏症は青果を切らないと発生がわからないため、生産者、加工業者ともに不安を抱えています。

ハクサイは収穫時期を延ばし、圃場で長い期間栽培すれば、重量は上がりやすい傾向にあります。しかし、栽培期間が長くなると、石灰欠乏症(あんこ)の発生リスクが上がります。石灰欠乏症に強い『桜月』は「加工に向くサイズで収穫したい」「石灰欠乏症も発生させたくない」という相反する2つの需要に応えられる品種です。

左:『桜月』 右:従来品種
2020年6月下旬収穫 北海道 ※当社調べ

右の従来品種では内部が茶色に変色する石灰欠乏症(あんこ)が上部に発生しているが、『桜月』では発生していない。また、『桜月』はサイズも大きい。
撮影した北海道の産地では、この時期降雨が少なく、ハクサイ生産において特に石灰欠乏症が問題となったが、『桜月』での発生は少なく、産地でも高く評価された。

  1. 抵抗性と耐病性:当社は病害を抑える性質をその程度により「抵抗性」と「耐病性」という言葉で表しています。発病条件(温度、湿度、病原体の密度など)の影響を受けにくく安定したものに「抵抗性」を用いています。「抵抗性」は基本的には発病しませんが、発病を助長する厳しい条件や病原菌のレース分化・変異により発病する場合もあります。「抵抗性」に比べ発病条件の影響を受けやすいが、感染しても発病の程度が軽かったり、栽培する上で問題になりにくいものには「耐病性」を用いています。

  2. 価格はすべて希望小売価格(税込)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。