夏秋自慢

サカタのタネは、高温期の栽培でも秀品率が高いダイコン「夏秋自慢」(かしゅうじまん)を開発し、2024年6月上旬から種子を発売します。

ダイコン「夏秋自慢」は8月中旬から9月上旬にタネをまく(温暖地の場合)夏ダイコンです。高温期は、内部が黒く変色する黒芯症などの生理障害やコブ症、シミ症、横縞症、萎黄病などの病害が発生しやすいため、ダイコンの生産が難しい時期です。「夏秋自慢」はこれらの生理障害や病害に強く、従来品種と比較して高い歩留まりが期待できます。また、抽根部(ダイコンの上部)がやや短いため、強風などの影響で曲がりにくいことも特長です。さらに、収穫後の高温で発生しやすい青変症(内部が青く変色する現象)が発症しにくく、生産者、流通業者、加工業者の安心につながります。

また、ダイコンは収穫、洗浄、運搬の際の衝撃で割れることがあります。特に大産地では機械収穫の導入が進んでおり、手作業の収穫と比べて衝撃が加わりやすいため、衝撃耐性が求められています。「夏秋自慢」はこれらの衝撃にも強い品種です。

一般的な夏ダイコンは、秋まきすると根が短くなったり生育が遅れたりすることがあります。「夏秋自慢」は比較的温度に鈍感なので、一般的な夏ダイコンより遅い時期まで播種でき、生産者の栽培スケジュールに合わせやすく、天候不順の際の安定生産にもつながります。

ダイコン「夏秋自慢」の種子の希望小売価格(※)は800粒入り1,320円(税込)、8,000粒入り12,980円(税込)、ペレット種子5,000粒入り11,550円(税込)です。全国のJA、種苗店を通じて発売します。 

  • 価格はすべて希望小売価格(税込)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。

高温期におけるダイコンの安定生産に向けて

左:他社品種 右:「夏秋自慢」
他社品種はシミ症が発生し、形状の乱れも大きいが、
「夏秋自慢」は病害の発生がなく、形状も安定している
2023年10月撮影(千葉県) ※当社調べ 

ダイコンの生育適温は17~21度で、比較的冷涼な気候を好みます。夏の暑い時期にタネをまき、高温期に生育する夏ダイコンは、黒芯症や赤芯症などの内部の生理障害やコブ症、シミ症、横縞症、萎黄病などの病害が発生しやすい難しい作型です。これらの障害や病害は市場評価に直結し、程度や市場流通量によっては廃棄処分につながります。また、収穫後の高温で青変症(ダイコン内部の青変)が発生し、クレームにつながることもあります。

昨今、夏の暑さは野菜の産地に深刻な影響を与えており、ダイコンも例外ではありません。当社では高温期の生理障害や病害への強さは、夏ダイコンにおいて今後ますます重要になると考え、これらの障害や病害に強い「夏秋自慢」を開発しました。 

適応作型の広い「夏秋自慢」

左:他社品種 右:「夏秋自慢」
9月中旬に播種し、12月中旬に収穫。他社品種は短いが、「夏秋自慢」は十分な長さ(2Lサイズ相当)に生育している。2023年12月撮影(神奈川県)
※当社調べ 

一般的な夏ダイコン品種は、秋まきすると短くなったり生育が遅れたりすることがあり、秋冬ダイコン品種に切り替える必要があります。「夏秋自慢」は比較的温度に鈍感で夏ダイコンの中では低温伸長性・肥大性に優れるため、初秋まき品種としても使用できます。昨今の天候不順により、生産者は栽培スケジュールを立てにくい状況となっています。「夏秋自慢」は播種幅が広いため、このような厳しい条件での安定生産にもつながります。 

サカタのタネのダイコン 「自慢」シリーズ、「守(かみ)」シリーズ、「相撲」シリーズ

サカタのタネでは「自慢」シリーズ、「守」シリーズ、「相撲」シリーズ、計3つのダイコン品種シリーズを展開しています。「自慢」シリーズは作りやすさ、「守」シリーズは肌質のよさ、「相撲」シリーズは加工・業務適性があります。今回、「自慢」シリーズに夏ダイコンである「夏秋自慢」が加わったことで、より生産者の経営に合わせた品種選択がしやすくなりました。なお、「夏秋自慢」は加工・業務用サイズ(1本1.5kg以上)まで育てても作業割れにしくいため、加工・業務用として出荷することも可能です。