ブロッコリー「おはよう」

サカタのタネは、「多様なブロッコリー品種群開発による生産拡大、周年生産への貢献」により「令和6年度(第25回)民間部門農林水産研究開発功績者表彰」において、「農林水産技術会議会長賞 民間企業部門」を受賞しました。表彰式は2024年11月27日(水)に行われます。

平成12年度に始まった同表彰は、農林水産省および公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会が、農林水産業その他関連産業に関する研究開発のうち、民間が主体となっているものについて、優れた功績のあった個人または団体を対象に表彰するものです。

今回の表彰では、当社が適応性の広いブロッコリー品種「ピクセル」「おはよう」(=写真=)などを開発し、国内作付面積の増大と消費拡大に大きく貢献したことや、「グランドーム」開発による水田裏作や国産品での加工業務用需要に対応したことなど、さまざまな品種を開発したことによるブロッコリーの生産拡大と周年生産への貢献が評価されました。

当社はブロッコリー種子の世界シェア約65%(自社推計)のリーディングカンパニーとして、今後も生産現場の課題解決に寄与し、消費拡大に貢献できる品種開発に努めてまいります。

・受賞者
 川村 学 (株式会社 サカタのタネ 執行役員 掛川総合研究センター 場長)
 小林 茂俊(元 サカタのタネ)
 笹山 純一(元 サカタのタネ)

業績概要

業績名:多様なブロッコリー品種群開発による生産拡大、周年生産への貢献

  • 早生性・耐暑性・低温伸張性などを有した適応性の広いブロッコリー品種「ピクセル」「おはよう」などを開発し、冷涼地6~10月どり、温暖(中間)地10~12月および5~6月どりで高品質な花蕾の安定的生産を可能とし、国内作付面積の増大と消費拡大に大きく貢献

  • 遅まき早どり品種「沢ゆたか」の開発による暑い時期の播種や台風被害の回避ができる新作型の創出

  • 低温によるボトニング(未熟花蕾)に強い「グランドーム」を育成。それまでの二重トンネル栽培から一重トンネル栽培への移行を可能にするなど、ブロッコリー栽培の省力・低コスト化に寄与

  • 「グランドーム」は、湿害に強く花蕾肥大性に優れているため、収量性向上に加え水田裏作での栽培や国産品での加工業務用需要に対応

  • 根こぶ病耐病性品種「グリーンキャノン」「アーリーキャノン」の開発は、根こぶ病菌に汚染した圃場での栽培を可能とし、化学合成農薬使用量の削減にも貢献

「ピクセル」

「グランドーム」 

研究の背景と今後の展望

ブロッコリーの生産と消費は、その栄養価値の高さ・調理の容易さから、日本を含む全世界で拡大傾向にあります。しかしブロッコリーは、冷涼な気候を好むこと、また春先は花が咲きやすいことから、日本では夏や初春におけるブロッコリーの生産供給は困難なものでした。

高品質なブロッコリー花蕾の安定的な周年供給を実現するには、従来の花蕾品質の改良に加え、日本の気象条件を考慮した夏季栽培での耐暑性、冬季栽培での低温伸張性・ボトニング(未熟花蕾)耐性、耐湿性・耐病性など、それぞれの作型に適合した特性を付与する必要がありました。

当社では、これらの課題を克服し、国内での安定周年生産供給を可能にすることを目的に品種開発を行ってきました。今後も、地球温暖化に対応すべく、さらなる耐暑性・耐病性・耐旱性(乾燥への強さ)をもった耐候性品種や、今後需要が増大すると予想される加工業務用向け品種などを継続的に開発することで、ブロッコリーのさらなる生産拡大に貢献したいと考えています。