初美月

サカタのタネは、耐寒性・在圃性・耐病性に優れ、暖冬でも安定した出荷が可能であるハクサイの新品種「初美月」(はつみづき)の種子を発売します。

初美月」は、べと病・根こぶ病・黄化病・白さび病に耐病性(※1)を持ち、年内から年明けに収穫が可能な80-85日型の中生品種です。

近年ハクサイ秋冬どりの作型では、気候変動および異常気象による影響から、収量や品質が不安定になっています。「初美月」は、暖冬でも過剰肥大せず、綺麗な形状を保つため、出荷箱に入らなくなってしまうリスクを低減できます。また厳寒期においても、耐寒性・晩抽性に優れているため、寒さによる葉の傷みが少なく、出荷時の調整作業を軽減できます。生育状況や栽培環境にもよりますが、1月中旬頃までの収穫であれば、無結束栽培も可能です。

葉色の緑が濃く、球内色は濃い黄色でカットしたときの見栄えがよいため、小売店における高い訴求力も期待できます。糖度が高く食味がよいことも特長の一つです。

初美月」の種子の希望小売価格(※2)は、20ml入り袋が9,020円(税込)、ペレットシード1缶5,000粒入りが15,510円(税込)です。全国のJA、種苗店を通じて2025年7月上旬から順次発売します。

  1. 抵抗性と耐病性:当社は病害を抑える性質をその程度により「抵抗性」と「耐病性」という言葉で表しています。発病条件(温度、湿度、病原体の密度など)の影響を受けにくく安定したものに「抵抗性」を用いています。「抵抗性」は基本的には発病しませんが、発病を助長する厳しい条件や病原菌のレース分化・変異により発病する場合もあります。「抵抗性」に比べ発病条件の影響を受けやすいが、感染しても発病の程度が軽かったり、栽培する上で問題になりにくいものには「耐病性」を用いています。

  2. 価格はすべて希望小売価格(税込)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。

ハクサイの結束栽培

結束栽培とは、中生・晩生品種のハクサイが霜の害を受けないように、結球部を外葉で包み、頭部をひもで縛っておく方法です。これによりハクサイが寒さに耐え、遅くまで畑に置くことができます。しかし結束作業は手間がかかり、生産コストが上昇してしまいます。

無結束栽培が可能な「初美月」

生育状況や栽培環境にもよりますが、「初美月」は1月中旬頃までの出荷であれば、無結束栽培も可能です。前述の通り、ハクサイの結束作業は生産者に大きな負担がかかる作業です。無結束栽培が可能である「初美月」は生産者の労力削減に大きく貢献します。また、結束作業が遅れても、生産者は安心して出荷することができます。さらに「初美月」は寒さによる葉の傷みが少なく、出荷時に傷んだ葉を取り除く収穫調整作業を軽減することができます。

昨今の日本における農業の問題として、基幹的農業従事者数の減少、一戸あたりの面積増加などが挙げられます。これらの問題により、生産現場では農作業の省力化が求められています。無結束栽培は、こうした状況に対応するための有効な手段となります。

他社品種

「初美月」 

【栽培概要】
・茨城県西地区
・播種:8月中旬、定植:9月中旬(2022年)
・無結束栽培

【撮影日】
① 1月18日、② 2月21日(※)撮影(2023年)

【結果】
初美月」は、締まり良好で抽苔無し。低温条件下でも耐寒性があり、葉の色が保たれている。

  • 初美月」の本来の収穫適期は1月中旬頃までです。耐寒性・在圃性の参考として2月下旬の調査結果を記載しています。