
サカタのタネは、玉の形状や色に優れるタマネギ「ゆめたま」(=写真=)の種子を2025年6月上旬から発売します。
「ゆめたま」は4月下旬前後に収穫する早生品種で、辛みの少ない「新タマネギ」用品種です。タマネギは品種や育てた樹の強さなどによって、扁平形や下部がとがった青果になることがありますが、一玉当たりの重量や加工ロスの観点から、生産者や流通・加工業者からはきれいな球形が好まれます。「ゆめたま」は草勢が強くても、青果を球形に安定させることができる品種です。また、新タマネギとしてのフレッシュさを感じさせる皮色の白さにも優れます。
タマネギ栽培の課題の一つに、雨などによる定植・収穫遅れがあります。定植遅れはその後の玉の太りに影響し、小玉になるリスクがあります。また、収穫遅れは必要以上に大玉になり、市場評価の低下につながります。「ゆめたま」は生育後半の玉伸び(青果の生育)がよいので遅植えにも対応できます。その一方で、玉じまりがよく収穫適期を過ぎても玉が大きくなり過ぎないため、収穫タイミングに幅を持たせることができ、生産者の作業に余裕を持たせることができます。
新タマネギは収穫から時間が経過すると、水分が抜けてしぼむ場合があることも生産・流通面での課題です。「ゆめたま」は早生品種の中では鱗片(りんぺん)が多いため日持ちに優れ、サラダに適したパリパリの食感も併せ持っています。
タマネギ「ゆめたま」の種子の希望小売価格(※)は2dl入りで20,240円(税込)、ペレット種子10,000粒入りで13,970円(税込)です。全国のJA、種苗店を通じて発売します。
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価格はすべて希望小売価格(税込)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。
■食生活の必需品、底堅いタマネギ需要
タマネギの出荷量は全国で約110万トン(2022年)。野菜全体としては出荷量が減少傾向にある中で、タマネギは安定的な需要を持ち、この20年でおおよそ横ばいに推移しています。煮込み料理、炒め物、生食まで幅広い料理の欠かせない食材として、底堅い需要がある品目です。
タマネギには年間を通して流通する褐色の貯蔵向け「タマネギ」や柔らかく辛みの少ない「新タマネギ」などがあります。貯蔵向けの「タマネギ」は収穫後乾燥させたものです。一方、「新タマネギ」は収穫後すぐに出荷・流通するため、サラダなど生食でみずみずしさを楽しむことができます。収穫時期や保存性の特徴などから、それぞれ使用する品種が異なり、一般的には極早生・早生品種は「新タマネギ」、中生・晩生品種は貯蔵向けの「タマネギ」として栽培されます。
■タマネギの形状と色の重要性
タマネギは横の直径でL、2Lなど規格があり、さらに一箱(あるいはネット袋)当たりの重量も決まっています。タマネギは一般的にLサイズの単価がよく、それ以上のサイズは単価が下がる傾向にあります。青果が扁平の場合、必要以上に直径が出てしまうこと、また、重量が出にくく、一箱当たりの青果数が多くなりやすいことから、球形のほうが収益性に優れる傾向があります。
また、タマネギを機械加工する際は青果の上と下をカットするため、扁平の場合は必要以上に切り取る必要があります。タマネギは加工用途が多い品目のため、この加工適性は非常に重要です。
新タマネギは青果の白さも重要なポイントです。品種によっては表面に緑色の線が入ることがありますが、サラダにした際は緑線が入らないほうが見栄えがよいとされます。
「ゆめたま」はこのような形状、色の点でも、生産者、流通、消費者にとってメリットのある品種です。

扁平にならず、きれいな球形に生育する「ゆめたま」
■天候不順対策にも、遅植え、遅どりできる「ゆめたま」
早生品種である「ゆめたま」の定植は10~11月で、秋の長雨や台風の影響で苗の植え付けが予定通りに進まないことがある時期です。タマネギの定植遅れは収穫物のサイズにも影響しますが、「ゆめたま」は生育後半(春以降)の玉の生育がよいため、ある程度の定植遅れにも対応することができ、天候不順のリスクを軽減することができます。
また、タマネギは収穫せずに圃場に置いておくと、そのまま必要以上に大きくなってしまうことがあります。「ゆめたま」は出荷に適したサイズで生育が止まるため、生産者は収穫に追われず、負担を軽減することができます。
■鱗片(りんぺん)枚数の比較

同じ日に収穫した早生品種(3品種)でそれぞれ4玉を比較。いずれもLサイズの青果で調査。
2023年5月(静岡県)。自社調べ。
「ゆめたま」は鱗片(りんぺん)が多い傾向にある。
新タマネギは流通の間に水分が抜けてしぼんでしまうことがあるが、鱗片が多いとそのリスクを軽減できる。
「ゆめたま」は流通上のメリットと、新タマネギらしい生食に向くパリパリ食感が両立した品種。