
株式会社サカタのタネは、裂果に強く、収量性に優れた、黄化葉巻病(Tomato Yellow Leaf Curl Virus:以下TYLCV)耐病性ミニトマト「ロイヤルパッション」を開発し、2025年4月下旬から種子を発売します。
TYLCV耐病性を持つ「ロイヤルパッション」は抑制栽培に適した品種です。同作型の収穫は残暑が厳しい9月頃から始まりますが、ミニトマトは高温環境下では着果不良や着果しても玉が十分に大きくならない(小果)、あるいは割れてしまう(裂果)といった課題があり、年内における市場価格に大きな影響を与えています。「ロイヤルパッション」は高温環境下での着果性、果実肥大性に優れ、裂果の発生も極めて少ないため、栽培初期から品質のよい青果を収穫することができます。草勢はやや強く樹勢(スタミナ)があり、栽培後半まで安定した収量性を発揮できる品種です。また、果実は色濃くテリがあり、食味は甘味と酸味のバランスに優れ、果実が軟らかくなってしまう軟化玉の発生も少ないため、出荷時の青果品質はもちろん、流通先での果実の見栄え、棚持ちのよさにも寄与します。
ミニトマトは収穫作業のほとんどを手作業で行うため、労働力の確保が難しい昨今においては作業性も重要です。「ロイヤルパッション」は、下段から花数が適度で摘花作業が軽減でき、節間が短いので、樹の高さを調整するつるおろし作業など誘引作業の頻度を軽減することができます。また、1枚1枚の葉の長さ(茎から葉先まで)が短く、葉が立つ開帳型のため、果実への採光性がよく、薬剤散布作業の負担軽減にもつながります。
「ロイヤルパッション」は、ミニトマトの栽培で問題となる萎凋病(F:R-1)、ToMV(Tm-2a型)、葉かび病、斑点病への抵抗性(※1)と黄化葉巻病(イスラエル、マイルド系統)への耐病性(※1)、ネマトーダへの耐病虫性があります。特に抑制栽培に向く品種ですが、夏秋、促成栽培の作型でも栽培可能です。
ミニトマト「ロイヤルパッション」の種子の希望小売価格(※2)はプライマックス種子1袋1,000粒入りで、47,850円(税込)です。全国のJA、種苗店を通じて販売します。
高温期でも品質のよいミニトマトが収穫できる「ロイヤルパッション」
昨今の猛暑の影響で、夏から秋にかけてのミニトマト生産は難しいものになってきています。具体的には樹勢が弱くなって花が少なくなり、花粉の稔性(受精能力)が低下して着果しにくくなる、といった着果不良、収量低下の問題や、果実が割れる、軟らかくなる、といった青果物の品質低下の問題です。「ロイヤルパッション」は高温環境下における着果のよさに加え、果肉が厚く、裂果の発生が極めて低い品種です。肉質がしっかりして、輸送中の品質劣化が少ないため日持ち性にも優れています。
収穫後9日までの日持ち検査では、果皮の割れへの強さを表す果実外側硬度試験(図1)、果肉の硬さを調べる果肉硬度試験(図2)ともに品質劣化が少ない結果となりました。

硬度測定方法 |
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【果実外側硬度】 |
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硬度試験は、収穫物(栽培条件、産地、時期、保存状態)により数値が変動する場合があり、栽培での結果を保証するものではありません。
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上記2品種について、統計的な有意差があることを確認済み。
果肉幅が厚く、果肉比率も高い結果となり(図3)、図1~図3などが示す総合的な果実の特性から、「ロイヤルパッション」は割れの発生率が極めて低い試験結果も得られています(図4)。

裂果測定方法 |
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収穫当日果実について、へたの除去やプローブ貫入により果皮に亀裂が生じた個体比率を測定 |
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裂果試験は、収穫物(栽培条件、産地、時期、保存状態)により数値が変動する場合があり、栽培での結果を保証するものではありません。
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一般的な輸送時に発生した割れを計測したものではありません。
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上記2品種について、統計的な有意差があることを確認済み。
青果の見栄えや食味もよく、消費者にもメリットのある「ロイヤルパッション」
ミニトマトは一般的に果実の赤色が濃く、テリがあるほうが見栄えがよく、消費者も手に取りやすいとされます。「ロイヤルパッション」は、写真の通り果実の赤色が濃く、テリがあります。また、食味は甘味と酸味のバランスに優れ、コクがあります。

他社品種

「ロイヤルパッション」果実にテリがある
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2025年3月14日 (静岡県)
採光性よく、薬散作業の軽減に、葉が開帳型の「ロイヤルパッション」
ミニトマトは果実に光が当たることで色付きがよくなります。「ロイヤルパッション」は開帳型の葉のため、果実がきれいに色付く上、管理面においては薬剤散布作業の軽減にもつながります。

従来品種

「ロイヤルパッション」開帳型の葉
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2025年3月14日 (静岡県)
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抵抗性と耐病性:当社は病害を抑える性質をその程度により「抵抗性」と「耐病性」という言葉で表しています。発病条件(温度、湿度、病原体の密度など)の影響を受けにくく安定したものに「抵抗性」を用いています。「抵抗性」は基本的には発病しませんが、発病を助長する厳しい条件や病原菌のレース分化・変異により発病する場合もあります。「抵抗性」に比べ発病条件の影響を受けやすいが、感染しても発病の程度が軽かったり、栽培する上で問題になりにくいものには「耐病性」を用いています。
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価格はすべて希望小売価格(税込)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。