タネから芽が出るのは当たり前のような気がします。けれどもそこにはさまざまな条件があり、それに対する反応があり、よく考えてみると不思議なものです。今回は少しだけ、その不思議に触れてみましょう。
タネは命の設計図?
ヒマワリのタネからは必ずヒマワリが、メロンのタネからは必ずメロンが育ちます。これは、遺伝子情報がDNAという形でタネに収納されているからです。タネの中には、命の設計図が小さく折りたたまれて入っているという事なのです。
タネにも寿命が......。
タネは一見すると死んでいるように見えますが、もちろん生きていて、いわば眠っている状態です。ごくわずかな生命活動を行っているので、もちろん寿命があります。短いタネで数カ月、寿命が長いタネでは数年間は生きています。条件が揃えば1,000年以上昔のタネが発芽した例もあります。
発芽とは
発芽とは眠っていたタネが一定の条件下で生命活動を活発化させて植物体を作る、はじめの一歩です。その条件とは「温度、空気(酸素)、水分」です。発芽は酵素が働くことで始まりますので、これらの条件が必要です。植物の種類によっては発芽に「光」が必要なこともあります。
イラストにあるように、多くの植物で、まずは「根」が出ることから発芽が始まります。その後、子葉が展開します。子葉が展開すると光合成が始まり、多くの植物で光が重要な役割を果たすようになります。また、根が呼吸をしながら急激に伸びます。発芽する時期に水分が多すぎると根の呼吸ができずに死んでしまうこともあります。