種苗(しゅびょう)会社と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。「花や野菜を作っている会社?」いいえ、正確にお答えすると「花や野菜の新しい品種を研究開発し、それらのタネや苗を生産・販売する会社」です。ここでは「種苗会社」をもっと知っていただくために、種苗会社にまつわる話をご紹介いたします。

種苗と種苗業について

「種苗」とは

「種苗」とは「しゅびょう」と読み、「植物の増殖・生産」に必要となる「タネ・苗・球根」などを総称する言葉です。

「種苗業」とは

「種苗業」とは「花や野菜の新しい品種を研究開発し、それらの高品質な種苗を生産・販売する」専門業のことです。

種苗業は古くは江戸時代のころ、優れたタネを育てた農家が、副業として周囲の農家へタネを販売したことが始まりと言われています。明治時代以降、農業の近代化とともに高品質な種苗が大量に必要となり、「種苗業」として専業化していきました。

「種苗会社(種苗メーカー)」とは

「花や野菜の新しい品種を研究開発し、高品質な種苗を生産・販売している」会社のことです。農業や造園業などに従事するプロ向けにも、また、ガーデニングや家庭菜園を楽しむ園芸愛好家などにも、種苗を販売しています。

タネは「花や野菜を育てた後に自身でタネを採り、それを次年度の栽培に利用している」と思われがちですが、農家などの生産者や園芸愛好家は種苗会社からタネを購入しています。その主な理由は次の通りです。

  • 植物からタネを採るには長期間の栽培となり、畑を占用してしまい、畑を効率的に活用できない。

  • 自身でタネを採るには手間がかかるほか、採れなかったときのリスクもある。

  • 採ったタネを翌年に使うために精選、加工、貯蔵などの手間がかかる。

つまり、種苗会社からタネから入手することで、手間をかけずに高品質のタネを確実に入手することができるのです。種苗会社では、プロの方にも、園芸愛好家の皆さまにも安心してご利用いただけるよう、発芽率がよく、一斉に発芽し、発芽時の病気にかからないような、均一で健康なタネである高品質種子を販売しています。苗についても、タネから苗を育てる時間や手間をかけずに、丈夫で均一な苗を入手できるよう、種苗会社では高品質な苗を生産・販売しています。

種苗会社とその成果物の流れ

種苗会社が研究開発し、生産した種苗がどこでどのように形を変えて私たちの元に届いているか、その流れを表したものが下記の図になります。種苗会社が販売した種苗は、タネのまま私たちに届いて栽培に利用したり、苗生産者が野菜苗や花苗へと育てて私たちに届いたり、野菜や花の生産者が栽培して青果や生花を生産し、市場を通じて、青果店、生花店に並ぶなど、いろいろな商流があることがわかります。

種苗の主な流通経路と青果・生花の主な流通経路の図

私たちが毎日食べている野菜や観賞している花も、公園に植えられている草花も、学校で学習時に育てた草花も、その元をたどれば種苗会社が販売する種苗が成長したものです。種苗会社は私たちの生活に密着し、暮らしや社会を支えている、とても身近な存在なのです。

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