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今年の夏は猛暑で人間もやっとの思いで一日を過ごしました。我が家のヒマワリは発芽したものの、小さなものから日差しに焼けてとうとう一輪だけなんとかフーフーと小さな花をつけました。種まきも水やりも家族にお願いしながら、今日はどんな様子かと報告を楽しみに過ごすのがもう13回。気をもんだ分、一つだけの花がどれだけ頑張ったかその姿にとても励まされました。
毎年同じヒマワリでも、今年咲く花はたった1回、この年の条件の中で今の私の目の前で咲く代わりのない1輪です。各地から咲いたよのお知らせをいただくたびに、そだててくれた人の気持ちに包まれた一輪を想像してよかったなあ、と素直に思います。
生きていく毎日には楽しいことばかりではないのだけれど、心があたたかければあと一歩前に足を運ぶことができます。運ぶことが今はできなくても思うことが顔を上げます。かならず良くなる、必ず明日がくる。そこにあなたが望む花がにこにこと待ってくれる。今年も元気でいましょう。たくさん希望を咲かせましょう。
2025.1.13 大越桂
大越 桂さんプロフィール
1989年、宮城県仙台市生まれ。819グラムの未熟児で誕生し、重度脳性まひ、未熟児網膜症による弱視など、重度重複障害児として過ごす。
9歳頃より周期性嘔吐症を併発、障害の重度化により医療管理が必要になる。13歳で気管切開により失声し、筆談による「言葉のコミュニケーション」を始めた。2004年12月ブログ「積乱雲」を開設。2007年「第4回One by Oneアワード/キッズ個人賞」(日本アムウェイ主催)を受賞。同年、宮城県立名取支援学校高等部卒業。著書に『きもちのこえ~19歳・言葉・私~』(毎日新聞社、2008)がある。
現在創作工房「あとりえ・ローリエ」代表。詩の発表を続ける。「いのちのことばコンサート」(2009、2010)、詩とアートのコラボ展「言音色」(2010、2011)、東日本大震災応援歌「花の冠」(作詞 カワイ出版、2011)など、ジャンルを超えたアーティストとのコラボ活動多数。
2011年10月、「花の冠」が野田佳彦総理大臣の所信表明演説に引用される。2012年2月、初の詩集『花の冠』(朝日新聞出版)、『海の石』(光文社)を2冊同時刊行。2017年6月・12月、切り絵作家森屋真偉子氏とのコラボ展「みえない手」開催。