とげがあったり、丸いかたちをしたタネなどが並ぶ画像
タネを手のひらにのせた画像

このタネは何のタネでしょう?
鋭い2本のとげがあるタネと、丸い優しい感じのタネ。なんと、同じ植物のタネなのです。

正解は……。

畑で栽培しているホウレンソウの画像

ホウレンソウのタネです。
原産地は中東周辺で、イランで栽培化されたと言われています。ここから西に広がった系統がヨーロッパで西洋種となり、東へ伝わったものが中国で東洋種となって、16世紀に日本に伝わったと言われています。その後、江戸時代末期から明治時代にかけて、西洋種も日本に入ってきました。

とげのあるタネと丸いタネを並べたホウレンソウのタネの画像

冒頭の写真の似ても似つかない2種類の形のタネは、驚くことに両方とも同じホウレンソウのタネなのです。種苗の世界では、東洋種のタネはとげがある通称「針ダネ」、西洋種のタネはとげがない通称「丸ダネ」と言われます。遠い祖先は同じなのに、なぜこれほどにタネの形が変わったのか......。とても不思議に思います。

さて、ホウレンソウは日本では以前、東洋種の栽培が主流でした。サカタのタネが西洋種と東洋種の性質の異なる親を交配して生まれる「F1種(交配種)」であるホウレンソウ「アトラス」を1972年に発表すると、「べと病」という病気に強いことや、たくさん収穫できる特性が評価され、その後、日本では西洋種と東洋種のF1種が栽培の主流となりました。そしてこれらの品種のタネは多くが「丸ダネ」で扱いやすい形状となっています。

 「F1種(交配)」については下記のページも合わせてご覧ください。

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