1931年
世界初の完全八重咲きF1品種
ペチュニア
「ビクトリアス ミックス」
当時、八重咲きペチュニアは大変珍重され、高値で取り引きされていましたが、挿し芽でしか増やすことができませんでした。その後、種子による八重咲き品種が育成されたものの、その出現率は低く、1930年代に入っても八重咲きの出現率は50%程度でした。その時代、創業者坂田武雄は出現率100%となる完全八重咲きペチュニアのF1品種を研究、完成させたのでした。
世界初の完全八重咲きのF1品種は、世界を驚かせ、その種子は高価格で取り引きされました。その末端価格は当時の同じ重さの金の約20倍にも相当したというエピソードも。世界に「坂田商会」(当時)の名を知らしめることになった品種です。
1962年
家庭の食卓に上るメロンの先駆け
メロン
「プリンス」
1960年当時、多くの日本人にとって身近なメロンといえばマクワウリで、まだメロンというよりウリという認識が強かった時代。ガラス温室で高度な栽培技術を要するマスクメロンではなく、たくさん供給できるように露地で栽培できるおいしいメロンを研究。その結果、露地栽培向きメロンとして、とても糖度が高く、香りもよく、果肉も柔らかなメロンが完成しました。
日本の高温多湿の気候でも、露地で栽培できる「プリンス」は、北海道から九州まで日本全国で栽培され、おいしいメロンを手ごろな価格で供給できるようになりました。市場では「プリンス」の偽物の種子が出回るほど、「プリンス」の人気は高く、瞬く間に日本中に広まったのです。
1965年
全国で作付けされた春キャベツ
キャベツ
「金系201号」
1940年、キャベツでは世界初となるF1品種「ステキ甘藍」を『サカタ種苗目録』で発表したサカタのタネは、世界に先駆けてキャベツの育種に取り組んできました。1965年に発表した「金系201号」は、生産者から品質の良い大玉のキャベツを年内に収穫できることが高く評価されました。
大玉キャベツという特徴だけではなく、味わいのよい「金系201号」は消費者にもヒットし、春キャベツを代表する品種として全国で栽培が広がりました。柔らかなまきでおいしく、春キャベツの肉質の柔らかさやおいしさを消費者に広く浸透させた品種です。
1966年(オール アメリカ セレクションズ銅賞受賞年)
世界初のF1大輪パンジー
パンジー
「マジェスチック ジャイアント」
サカタのタネは1940年代の終わりごろから、海外で高い人気を誇ったパンジーの開発に取り組みました。その中で開発した世界初のF1大輪パンジー「マジェスチック ジャイアント」は花径10cm~12cmの大輪で、生育のそろいがよく、丈夫で生育も早い品種です。特に海外市場で高い評価を得て、需要が急増し、種子の生産が追い付かないほどだったといいます。1966年のオール アメリカ セレクションズでは銅賞を受賞しました。
現在パンジーといえば秋冬ガーデニングの代名詞ともいえる草花です。しかし、もともとは春に日が長くなり気温が上昇すると開花が促される「春の花」でした。「マジェスチック ジャイアント」をはじめとするF1パンジーは固定種に比べて生育が早かったことから、その中から低温感応性の低い系統を選ぶことで、それまでのパンジーにはできなかった秋出荷が可能となりました。サカタのタネはその後も「リーガル」シリーズなど秋にも花を咲かせる品種を開発し、パンジーが「秋の花」として親しまれるきっかけを作りました。さらに、冬にも咲く「オトノ」シリーズなども開発し、秋、冬、春と3シーズン楽しめるよう開発を進め、現在のガーデニングスタイルを確立しました。
1972年(日本ジフィーポット・プロダクツ株式会社が総代理店として販売開始)
苗づくりに失敗なし! 育苗革命
ジフィー製品
1966年からジフィーポットを仕入れて販売を開始し、1972年から「日本ジフィーポット・プロダクツ株式会社」(2005年にサカタのタネ100%出資の関係会社、2021年吸収合併)が輸入総代理店として販売を開始したジフィー製品。2019年、同商品群を「Seedfun.」シリーズとしてパッケージをリニューアルし、初心者向けタネまきキットなど新商品も発売しました。その後も「くり返し使用できる」をコンセプトとして環境に配慮した竹ラベルなど新商品も登場しています。
苗半作という言葉があるほど発芽から育苗はその後の生育を左右するため、育苗は植物栽培において大切です。ジフィー製品は発売以来長く生産者、園芸愛好家、ともに愛用され、健やかな植物の成長をサポートしてきました。そのまま土に植え付ける環境にやさしい商品で、発売当時は一般的でなかった「エコ」という言葉ですが、ジフィー製品はまさに時代を先取りした資材です。この思いは現在の「Seedfun.」シリーズにまで引き継がれています。