ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ基本方針のもと、社業である種苗事業や緑花事業を通じて、社会や農園芸業に貢献し、ステークホルダーが共に発展するサステナビリティ経営の実現に向け取り組みを進めています。さらに、サステナビリティ経営を促進すべく、2023年6月、サステナビリティ委員会を新設しました。代表取締役社長を委員長とし、取締役専務執行役員、本部長をメンバーとして、その審議結果については、取締役会へ定期的に報告をおこなっています。事務局機能は、組織横断のメンバーによる推進プロジェクトチームが担い、委員である取締役専務執行役員のうち1名がプロジェクトリーダーとなって諸課題に対する具体的な取り組みを進めています。

サステナビリティ全般に関するガバナンス体制図

戦略

当社グループは、気候変動および自然資本の喪失が、中長期的な事業環境および企業価値に影響を及ぼし得る重要な経営課題であると認識しています。
これまで、TCFD提言に基づき気候関連リスクおよび機会への対応を進めてきましたが、近年の生物多様性の損失や自然資本に関する国際的な議論の進展を踏まえ、TNFD提言を参考に、自然関連リスク・機会の把握にも段階的に取り組んでいます。今年度は、TNFDフレームワークに沿ってLEAPアプローチを活用し、そのうちLocateおよびEvaluateフェーズを中心に、自然関連リスク・機会の特定および評価を行いました。

LEAPアプローチを考慮した自然関連課題等の評価

LEAPアプローチ※1とは、TNFDが推奨する、自然との接点、自然との依存関係、インパクト、リスク・機会など、自然関連課題の評価のための統合的なプロセスです。
当社は、当該アプローチを踏まえ、2026年5月期にサカタのタネグループで世界各地に有する主要施設・拠点を対象に、自然関連課題等(依存・影響、リスク・機会)の特定・評価を実施しました。

  • ※1 LEAP : Locate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の4つのフェーズ

Locate(発見)

当社は、種苗事業における自然資本との関係性を把握するため、主要な事業活動を「種苗の育種・生産(野菜)」「種苗の育種・生産(花)」「種子加工」「種子販売」に分類し、TNFDが推奨する自然への依存・影響の特定ツールであるENCOREを参照して、各事業活動における自然への依存・影響を整理するとともに、ヒートマップを用いて可視化し、直接操業における自然資本への依存・影響の度合いを評価しました。
その結果、依存の観点では「バイオマス」「遺伝資源」「気候調整(グローバル/ローカル)」「降雨パターン調整」「水質浄化」「土壌および堆積物の保持」「土壌保持」への関係性が特に高く、影響の観点では「水使用量」において非常に高い関係性が認められました。

ヒートマップを用いて可視化し直接操業における自然資本への依存・影響の度合いを評価した表

さらに、バリューチェーンの中でも、当社グループの研究開発段階、物流段階での自然のかかわりの重要性が特に高いと考えられるため、国内外の主要研究施設ならびに主要物流拠点を対象に、WWF※2の「Risk Filter Suite」(生態系と水のリスク分析ツール)、WRI※3の「Aqueduct」(水リスク分析ツール)、Global Forest Watch※4(土地利用や保護地域の地図分析ツール)等を活用し、各拠点所在地における生態系および水資源に関するリスク状況を評価しました。
その結果、全主要7拠点が要注意地域との接点があることが確認され、これらを重要性の高い優先拠点として特定しました。

  • ※2 WWF(World Wide Fund for Nature):失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行う、100カ国以上で活動している環境保全団体
  • ※3 WRI(World Resources Institute):地球の環境と開発の問題に関する政策研究と技術的支援を行う独立機関
  • ※4 Global Forest Watch:森林破壊の可視化と持続可能な森林管理の支援を目的として開発されたプラットフォーム

拠点名

選定理由

掛川総合研究センター
(静岡県掛川市)

・生物多様性にとって重要な地域であるため(保護地域、淡水魚の多様性が豊か)
・生態系の完全性が低下している地域であるため(窒素汚染)

矢板物流センター
(栃木県矢板市)

・生物多様性にとって重要な地域であるため(保護地域、淡水魚の多様性が豊か)

ベンガルール研究農場
(インド)

・生物多様性にとって重要な地域であるため(KBA※5に近接、淡水魚の多様性が豊か)
・生態系の完全性が低下している地域であるため(土地利用変化、窒素汚染)
・物理的水リスクが高い地域であるため (地下水位の低下)

フロリダ研究農場
(アメリカ)

・生物多様性にとって重要な地域であるため(KBA※5に近接)
・生態系の完全性が低下している地域であるため(森林減少)

ウッドランド イノベーションセンター
(アメリカ)

・生物多様性にとって重要な地域であるため(KBA※5に近接、淡水固有種が25種以上生息)
・生態系の完全性が低下している地域であるため(森林伐採、汚染)

ブラガンサパウリスタ研究農場
(ブラジル)

・生物多様性にとって重要な地域であるため(淡水固有種が25種以上生息)
・生態系の完全性が低下している地域であるため(森林減少、汚染)
・物理的水リスクが高い地域であるため(干ばつ)

ウショー研究農場
(フランス)

・生物多様性にとって重要な地域であるため(鳥類保護区と近接、ラムサール湿地まで11km)

  • ※5 KBA(Key Biodiversity Area):IUCN等が策定したKBA基準に基づき、希少種の生息や生態系の重要性などの観点から、生物多様性の保全にとって特に重要と特定された地域

Evaluate(診断)

特定された重要拠点において、事業プロセスや活動が自然資本にどのような依存・影響関係を持つかを分析しました。重要なインパクトドライバー・生態系サービスのリストを基に、4つの環境資産(水資源、陸域生態系、陸地、大気系)ごとの依存経路・影響経路の関係を下図のように整理しました。

ビジネスモデルとバリューチェーン

リスク管理

当社グループでは、「天候・自然災害リスク」、「育種開発リスク・知的財産権の侵害リスク」、「保有資産の価値変動リスク」、「品質と安全性に関するリスク」、「カントリーリスク」、「為替変動に関するリスク」、「取引先の信用リスク」等の各種リスクに関して、取締役会にて総合的に把握・評価するとともに、統合的に管理しています。

指標と目標

 当社グループでは、自然関連のリスクおよび機会について、TNFD提言に基づく把握・評価を開始した段階にあり、現時点では定量的な指標および数値目標の設定には至っていません。

一方で、2025年に策定した「サカタグループ 環境方針」に基づき、生物多様性の保全や自然資本への配慮を含む環境への取り組みを重要な経営課題の一つとして位置づけています。同方針では、生物多様性の保全・保護、水資源の保全、土壌の保全、環境負荷の低減、資源の循環などに関する考え方を明記し、本方針に基づき持続可能な農園芸業の実現に貢献してまいります。