戦略

当社グループでは、従業員一人ひとりの人格や個性を尊重しながら、変化を歓迎し、自由な発想を生み出し続ける企業風土を醸成するとともに、明るく、働きがいのある職場環境の維持・向上に努めています。当社グループの礎となっているのは世界各地で働く3千人近い従業員であり、当社グループでは従業員をかけがえのない「人財」と捉え、経営方針の一つとして「人財の育成、活用の基盤となる諸制度、施策を充実する」と定めています。この実現のため、人事については「実力主義を徹底し一人ひとりの個性が発揮される生き生きとした組織と働きがいのある職場を創造する」ことを理念として掲げています。

1. 人財育成方針

当社グループは、以下の5つの人財育成方針を掲げており、当社では各種施策を実施しています。今後、これらの施策をグループ全体に展開していけるよう、検討を進めていきます。

方針(1) 当社グループの発展に不可欠な人財像を明確にし、育成と採用を図る

期待する人財像として、以下の5点を掲げています。

  1. 「世界一の種苗会社」を目指し、より良い品質の商品とサービスの提供に努める人財

  2. 常に「信用第一」を心がけ、誠実さと奉仕の精神をもって行動し、社会に貢献する人財

  3. プロフェッショナルとして、グローバルな視野と豊かな発想を持ち、自己研鑽に努める人財

  4. 環境の変化を敏感に捉え、失敗を恐れずに新たな取り組みや、より高い目標にチャレンジする人財

  5. 「多様性」を尊重し、「相互啓発」と「チームワーク」によって明るく活気ある職場をつくる人財

このような人財を育成・採用するために、当社は以下の取り組みを実施しています。

<育成面>
当社は人財育成モデル(イメージ図参照)に基づいた人財育成施策を実施しています。若手社員に対しては、新入社員研修、フォローアップ研修、二年目研修によって、社会人基礎力を高めるとともに、社是や経営理念の浸透を図っています。また、将来を担う人財に対しては、リーダーシップの開発を目的とした階層別や選抜式の研修を提供しているほか、経営層や管理職を対象とした研修など、役割や目的に合わせた研修も用意し、専門能力の育成につなげています。
特に、当社のグローバル戦略の実現のために、グローバル人財の育成にも注力しています。世界中の人々と人的関係を構築できるコミュニケーション力、生活文化の違いを理解できる力、経営的なものの見方ができる力、当社共通の理念・価値観を伝えていく力など、グローバルな事業展開をリードできる人財の育成を目指すべく、海外企業に派遣し実際に業務を体験する研修(グローバル人財育成プログラム)を実施しています。また、語学力向上のために、語学教育プログラム(オンライン英会話レッスン、語学学校の受講料補助)も提供しています。
なお、上記育成をより効果的に行うために、当社掛川総合研究センター内に掛川研修センターを新設し、農業や種苗の知識を兼ね備えた「種苗人」の育成を推進しています。

<採用面>
新卒採用に関して、当社は、インターンシップや一日仕事体験会を通して、当社理念に共感する人財の採用につなげています。また、採用ウェブサイトの充実により、広く当社の魅力を発信しています。

方針(2) 常に工夫・改善に努め、積極果敢なチャレンジ精神を重視する

当社は、従業員の挑戦を後押しする取り組みとして、前述のグローバル人財育成プログラムへの参加を手挙げ方式で募集している他、社内のポストに対して自主的に応募することができる社内人財公募制度を行っています。

方針(3) 個性、能力、適性に見合った配置・異動を行うとともに、必要な知識やスキルの修得を支援する

当社は、職能要件に基づき、職種や等級に合った/超えた能力を発揮しているか把握し、配置・異動・教育に反映しています。また、人財情報データベースアンケートを行い、個々人のスキルや資格、得意分野を考慮して、配置・異動に活用しています。配置・異動後においては、実際の業務を題材に、知識や技術を計画的に伝え、実務的なスキルの習得の支援を行っています。

方針(4) 自らを高めようとする自律型人財に、能力開発の機会を提供する

当社は、自律的な学習を支援するために、前述の語学教育プログラムのほか、通信教育プログラムの提供において、約180の講座を用意し、受講料を補助しています。

方針(5) 職務において発揮した能力とその成果を公正に評価し、育成につなげる

当社は、複数名の考課者が考課を実施し、その考課結果を評定会議で検討・調整することで、成果を適切に評価しています。また、全ての考課者を対象とした考課者研修を毎年実施しており、公正な評価を目指しています。更には、目標面接制度において、会社方針や組織のミッション、自身の役割を見直し、目標達成に向けた取り組みを管理職がフィードバックすることで、社員の能力向上につなげています。

今後も時代の変化に応じた育成・採用や、人事評価制度の継続的な改善に取り組んでいきます。

2. 社内環境整備方針

当社グループは、以下の3つの社内環境整備方針を掲げており、当社では各種施策を実施しています。今後、これらの施策をグループ全体に展開していけるよう、検討を進めていきます。

方針(1) 従業員の多様な視点や価値観が企業の持続的な成長と価値向上に繋がる認識のもとに、国籍、性別、障害の有無、新卒・中途採用を問わず活躍できる社内環境をつくる

各職場でのダイバーシティ推進のためには、管理職の役割が重要であるとの考えから、当社は、管理職を対象としたダイバーシティ推進研修を実施しているほか、女性が自身のキャリアを主体的に構築していくことを目的とした女性キャリア研修も開催しています。

方針(2) 従業員が安心して働き続けられるよう、柔軟な働き方や心身の健康に対する取り組みを拡充する

当社は、多様な従業員が働きやすい環境を整備するために、在宅勤務制度、時差勤務制度、育児短時間勤務制度を制定しています。また、働きやすさや心身の健康を保つ上で、適切な休暇取得が重要と捉えています。そのために、有給休暇の取得を奨励しています。なお、やむを得ない事情により退職することになった従業員が、職場に復帰できる再雇用制度(キャリアリターン制度)も運用しています。そのほか、法令遵守に限らずハラスメント等の相談もできるコンプライアンス相談窓口や、従業員ならびに家族の方がいろいろな悩み事(メンタルヘルスやキャリア、家庭事情等)に関して気軽に相談できるEAP相談室を設置しています。

方針(3) 従業員がエンゲージメントを高め、やりがいと誇りを持てるよう、生産性向上とイノベーション促進につながる風土を醸成する

当社は、従業員エンゲージメントの状況を把握するとともに、やりがいや生産性向上にむけた課題がどこにあるか分析し、改善に向けた取り組みを検討しています。別途、前述の人財情報データベースアンケートを実施しているほか、アンケートだけでは分からない実態を各部署の人事ヒアリング面談で深掘りし、課題の理解と対応を進めています。

上記の取り組みに加えて、従業員のキャリア設計の支援や、働きやすい社内環境の継続的な改善に努めていきます。

指標と目標

指標

目標

実績(2023年度)

関連する方針

 (a) リーダーシップ開発研修参加者数
(リーダーシップの開発を目的とした階層別や選抜式研修の年間参加者数)

2025年5月末時点で50人以上(維持目標)

72人

人財育成方針(1)

(b) 自己啓発プログラム利用者数
(語学教育プログラム、通信教育プログラムの年間利用者数)

2025年5月末時点で380人以上

388人

人財育成方針(1)(4)

(c) 女性管理職比率

2030年5月末時点で20%以上

8.7%

社内環境整備方針(1)

(d) 年次有給休暇の平均取得率
(付与日数に対する取得率)

2025年5月末時点で70%以上(維持目標)

79.9%

社内環境整備方針(2)

当社(サカタのタネ単体)の 数値

  • 上記については、連結グループとしてではなく、当社が実施しているものであることから、当社単体の目標及び実績を記載しています。